公認会計士・税理士の藤沼です。
かくいう私も、会計士登録したその年に転職活動をスタートしました。
そこで今回は、修了考査の合格発表後に転職活動をされる方向けに、転職時の注意点などお伝えしたいと思います。
目次
修了考査の合格発表後、転職するなら「年内」がオススメ

私の失敗談でもありますが、修了考査の合格発表後に転職活動をスタートする場合、「年内」に転職することをオススメします。
たとえば 私は修了考査の合格発表後、10月から転職活動をスタートしました。
年明け1月に内定を得ましたが、既に期末監査の準備が始まっており、流石にすぐに辞めることができませんでした。
結局、EYを退職できたのは6月末、転職先に入社できたのは7月でした。
皆さんも転職活動をされる際は、(実際に転職するかは別として)情報収集だけは早めにスタートすることをオススメします。
修了考査の合格発表後、転職する際のスケジュール

(BIG4在職者を前提として)修了考査合格後に転職活動をスタートする場合、たとえば次のような転職スケジュールが一般的だと思います。
- 3月末頃~4月初め : 合格発表
- 4月中旬~5月末頃 : 繁忙期
- 6月中旬~7月中旬 : 情報収集
- 7月中旬~8月初め : 第1四半期レビュー
- 7月中旬~8月中旬 : 公認会計士登録
- 8月中旬~9月末頃 : 応募・面接・内定・辞表提出
- 10月末~12月末 : 転職
四半期レビューがそこまで忙しくない方であれば、レビュー中に転職活動を進めることも可能でしょう。
また、修了考査の合格発表前に情報収集を終えている人なら、6月~7月の間に転職先を決定することもできるでしょう。(その場合、8月~9月中に転職することができる)
① 情報収集
若手で転職される方は、たとえば「コンサル」を転職先に選ぶ方が多いはず。
しかし、一言に「コンサル」と言っても種類は様々です。
コンサルの種類(例)
- M&A(DD、VAL、PMI)
- PPA、減損テスト
- プロジェクトファイナンス
- 戦略系
- 再生系
- フォレンジック
- IFRS
- IPO
- SOX導入
- 会計アドバイザリー
コンサルだけでもこれだけの種類がある上に、「それぞれの仕事内容」「メリット・デメリット」「更にその先のキャリア」等、知るべき・考えるべき情報は、意外と多いです。
このような失敗を犯さないためにも、大体1ヶ月程度の情報収集期間を設けることをオススメします。
② 応募・面接・内定・辞表提出
応募から内定までは、通常、1~2週間です。(かなり短い)
また、私たち会計士の転職市場は「超売り手市場」なので、応募すればほぼ100%に近い割合で内定が出ます。
内定承諾期間は1週間程度なので、この短期間で、どこに入社するか決めなければなりません。
事前の情報収集が不足していると、ここでかなり焦って決めてしまう事になるので、情報収集は本当に重要なのです。
情報収集の方法については、後述します。
③ 退職
辞表提出後は、1ヶ月~2ヶ月程度で退職するのが一般的です。
もちろん いつ辞めるかは本人の自由ですから、繁忙期直前に辞めることもできます。
しかし、私たち会計士の業界は(想像以上に)狭い業界ですので、後々気まずい思いをする可能性が残ります。
できるだけ遺恨を残さないよう、無理のないスケジュールで転職すべきだと思います。
(補足)履歴書「保有資格欄」への資格記入について
公認会計士登録作業は、各種書類の提出・審査に約1~2ヶ月かかります。
繁忙期がひと段落した5月末頃から登録手続をスタートする方が多いため、公認会計士登録されるのは最短で7月です。
実際に転職エージェントに確認してみたところ、「公認会計士登録(予定)」と記載すれば良いとの事でした。
監査法人在職者の登録申請が拒否されることはまず無いため、企業側もそこまでリスクを感じないようです。
【参考】求人数が最も増える時期

「求人数が最も多い時期に転職活動をしたい」と考える方もいると思います。
そこで、参考として「求人数の月別推移」を掲載しておきます。

(参考:厚生労働省「一般職業紹介状況 – 労働市場関係指標」より作成)
上記は、厚労省による過去10年間の「有効求人数-月別推移」のリサーチ結果です。
これによれば、9月~11月のタイミングが最も求人数の多い時期とされています。
ただ、こちらはあくまで「求人数」の推移です。
「良い求人」がその時期にあるかどうかは分かりませんので、あくまで参考程度に留めておきましょう。
修了考査の合格発表後、「情報収集」の流れ

私が初めて転職した時は、がむしゃらに情報を収集していました。
そこで、私が良いと感じた「情報収集の流れ」をご紹介します。
情報収集の流れ
- 職種ごとの特徴を大まかに知る
- キャリアプランを考える
- 継続的に求人を入手する
それぞれ、簡単に解説します。
① 職種ごとの特徴を大まかに知る
私たち会計士の転職先は、全12種あります。 まずはそれぞれの職種の特徴を、大まかに知りましょう。
もちろん、厳密にはそれぞれの企業の特徴は、個々に異なります。
初めは知らない専門用語を多く目にするのでストレスを感じると思いますが、ここでの情報収集が、その後の活動を効率的なものにします。
なお、転職先の種類(12種)については、次の記事で全て解説しています。
② キャリアプランを考える
各職種の働き方をイメージできるようになったら、次は自分の「キャリアプラン」を考えます。
たとえば、「なんとなく税務に興味がある」という理由で次の転職先を決めた場合、「会計事務所に転職しよう」という結論になるでしょう。
しかし、会計事務所で身に付くスキルは「中小企業の税務」であり、そのスキルは「自分が独立する時以外に活用しづらい」という欠点があります。
「将来やりたいこと」を考えてから、逆算して「次の転職先」を考えることが大切です。
なお 会計士のキャリアについて、詳しくは次の記事で解説しています。
③ 継続的に求人を入手する
自分のゴールがイメージできたら、実際に求人を入手し、「自分が働いているイメージ」を膨らませましょう。
①で知った職種のうち、興味のある職種に絞って求人を入手すると効率的です。
なぜなら、採用枠は人気のものから埋まってしまう為、一時点で入手した求人は「余り物」の可能性があるからです。
(ストックではなく)フローで求人を入手することで、人気の高い求人をいち早くピックアップできますから、早めに転職エージェントに登録しておくべきです。
会計士にオススメの転職エージェント
会計士が転職する場合には、「マイナビ会計士」1択です。
なぜなら、唯一の会計士専門エージェントであり、私たち会計士のキャリアに精通しているからです。
先述のとおり、修了考査合格後は「年内の転職」がベストです。
今すぐ転職をしないとしても、情報収集は早めにされることを強く推奨します。