公認会計士・税理士の藤沼です。

FASでM&A系のコンサルに従事していました。

今回はPPAについて、会計士の方向けにその仕事内容を解説します。

未経験者向けの内容になりますので、できるだけ平易な表現で解説したいと思います。

この記事を書いた人

藤沼 寛夫

藤沼 寛夫

35歳
公認会計士・税理士

2014年  2月 EY新日本監査法人 入社
2018年  7月 FAS系コンサル事務所 入社
2019年10月 藤沼会計事務所 開業
2020年  4月 税理士登録

 

PPAとは?

PPAとは?

ご存知の方も多いと思いますが、念のため簡単におさらいします。

PPA(Purchase Price Allocation)とは、直訳で「取得原価の配分」をいいます。

具体的には、M&Aにより取得した資産・負債を 取得時の時価により評価することを言います。

なお、PPAの根拠となる会計基準は次のとおりです。

取得原価は、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産及び負債)の企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して企業結合日以後1年以内に配分する。(引用:企業結合に関する会計基準 第28項

基準上はまどろっこしい言い回しですが、要するに資産・負債を時価評価しましょうという話です。

ここで議論になるのが、「識別可能資産及び負債」の存在です。

 

① 識別可能資産及び負債

M&Aでは、単に対象会社のB/S上の資産・負債を時価評価すれば良い、というわけではありません。

目に見えないものであって、かつB/Sに計上されていないものであっても、分離して譲渡できる資産・負債については、取得時に資産計上(負債計上)することになります。

こちらも、根拠となる会計基準は次のとおりです。

受け入れた資産に法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、当該無形資産は識別可能なものとして取り扱う。(引用::企業結合に関する会計基準 第29項

(中略)識別可能資産及び負債の範囲については、被取得企業の企業結合日前の貸借対照表において計上されていたかどうかにかかわらず、企業がそれらに対して対価を支払って取得した場合、原則として、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の下で認識されるものに限定することとした。(引用:企業結合に関する会計基準 第99項

 

② 識別可能無形資産の例

「目に見えない分離して譲渡可能な資産」の例としては、例えば次のようなものが挙げられます。

  • 特許権
  • 著作権
  • 独占販売権
  • 顧客リスト etc

「独立させて売買できるか」という視点で考えると、イメージしやすいと思います。

 

③ 実務では、識別可能無形資産の認識・測定が肝

PPAがFASなどのコンサルティング会社に外部委託されるのは、特に「識別可能無形資産」の認識及び測定が複雑だからです。

何を識別可能資産として認識するか、認識した識別可能無形資産をどのように測定するか、という知見は、社内に備わっていないケースが多いのです。

時価の認識や測定を誤ると、差額として計上されるのれん(又は負ののれん)の金額が変わってしまい、将来の償却費や減損計上額が異なってきます。

識別可能資産及び負債は、M&Aの規模によっては非常に多額になるケースがあり、重要性の観点からも慎重さが大切になります。

 

PPAの仕事内容と流れ

PPAの仕事内容と流れ

既に実務で知っている(見たことがある)方も多いかもしれませんが、PPAの仕事の流れをかんたんに確認します。

① 情報収集

M&Aの目的・背景や、同業他社の傾向をもとに、対象企業が通常有しているであろう無形資産をリストアップします。

また、具体的には次のような資料の閲覧を行います。

  • 取締役会議事録・稟議書
  • DDに係る報告書
  • 買収に関する基本合意書 など

② 買収先とのコミュニケーション

暫定的にリストアップした無形資産のリストを、買収対象会社に見てもらい、実際に当該資産を保有しているかチェックしてもらいます。

この時、買収対象会社には「網羅性」の視点が欠けるケースが多いため、コンサルタント側で網羅性を意識したリストアップが必要になります。

③ 価値評価

各無形資産の識別が完了すると、時価による評価を行います。

ちなみに、時価評価の手法は次の3種類があります。

  • マーケット・アプローチ
  • インカム・アプローチ(DCF法など)
  • コスト・アプローチ

ここで、PPAで識別された無形資産は、多くの場合マーケット価格が存在しません。

そのため、通常はインカムアプローチ又はコストアプローチによって、時価を測定します。

インカムアプローチは、監査法人内で関与した方も多いと思いますので、なじみ深い方が多いでしょう。

PPAの一連の流れは 監査業務とよく似ているため、未経験であっても違和感なく関与できるのが良い点です。

 

PPAのやりがいとは?

私自身も FASでPPAを何度か経験していますが、PPA自体に大きなやりがいを感じることはありませんでした。

どちらかというとルーティンワークになりやすく、コンサルタントというよりも、「事務スタッフ」のような感じだからです。

もちろんコンサルタントとして、例えば正しいのれんの額を算出することで正しい会計処理を提供できる、という点でクライアントの役には立つのですが…。

やっている事が専門的すぎるため、あまり多くの人に感謝さるような仕事ではありませんでした。(監査よりは断然楽しかったですが)

会計・監査以外の知見が学べるという意味では、DDやバリュエーションの方が、関与していて成長を感じました。

 

PPAに関与できる可能性のある会計士の転職先

PPAは少しニッチな市場ですので、「PPAだけをやりたい」という方は少ないと思いますが、たとえば次のような転職先でPPAに携わることができる可能性があります。

  • BIG4のアドバイザリー部門
  • M&A系のFASコンサル会社
  • ベンチャーCFO
  • 上場会社の経理(M&A部門)

PPAの案件数だけで言えば、BIG4のアドバイザリー部門が最も多いです。

しかし、PPAはやや潰しが効きづらいフィールドですから、個人的には、他のアドバイザリー業務も同時に関与できる転職先をオススメします。

 

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