公認会計士・税理士の藤沼です。
監査法人で非常勤職員として、年間60日(平均すると週1程度)ほど働いています。
- 非常勤に興味はあるけど、働きやすいのかな?
- 仕事内容や、求められるレベルを知りたいな
今回はそんな方向けに、非常勤職員としての実体験をお話したいと思います。
目次
監査法人非常勤の1日の働き方と、年間スケジュール

先に前提として、私の簡易プロフィールを載せておきます。
私の簡易プロフィール
- 監査法人での実務経験:5年
- 非常勤職員としての年数:2年目
- 監査の年間日数:60日
- アサイン先:1社のみ
- 1日の勤務時間:6時間(定時)
EYで5年ほど監査を経験し、その後独立し、別の監査法人で年間60日ほど働いています。
非常勤職員としての年間アサイン日程は、次のとおりです。
非常勤職員としての年間アサイン日程
- 1月 : 8日間
- 2月 : 3日間
- 3月 : -
- 4月 : 11日間
- 5月 : 11日間
- 6月 : 5日間
- 7月 : 8日間
- 8月 : 3日間
- 9月 : -
- 10月: 8日間
- 11月: 3日間
- 12月: -
このような日程です。
私の場合は、四半期レビューと期末監査の繁忙期(人手の足りなくなる時期)にアサインされています。
期中におけるJ-SOX監査など、面白味のない業務にはアサインされないため、個人的には嬉しいです。
1日の働き方
私の場合は、基本的に残業なしで働いています。
これは私の希望ではなく、契約先の監査法人の方針です。
期末監査時は1日2時間~3時間の残業が発生しますが、それでもだいぶ稼働時間は少ない方でしょう。
1日の働き方(閑散期)
- 10時に出社
- インチャージから作業の指示を受ける
- 12時にお昼休憩(コロナのため各自でランチ)
- 13時から仕事再開
- 17時に退社
なお、具体的な作業内容(難易度や求められるレベルなど)は後述します。
>>「具体的な作業内容」へ飛ぶ
クライアントから近い場所に住んでいることもあり、9時半ごろに家を出れば間に合います。
また、閑散期に残業が発生した日はゼロでした。
体への負担はほとんど無く、むしろ「楽しい」とさえ感じています。(もちろん、配慮して頂いているインチャージの方のおかげです。)
1日の働き方(繁忙期:4月~5月)
- 10時に出社
- 12時にお昼休憩(コロナのため各自でランチ)
- 13時から仕事再開
- 19時~20時に退社
繁忙期となる4月~5月は、集中してアサインされ、かつ残業が2~3時間ほど発生しています。
4月中旬から5月中旬にかけて、4週間連続してアサインされているため、やや疲れを感じました。
チーム内でのコミュニケーションについて
非常勤職員なので、チーム構成員と「対等」な関係ではなく、「外部のお客さん」といった対応をして頂くことが多いです。
そのため、フランクな関係になることは少ないです。(人によるかもしれません。)
私の場合は必要以上にコミュニケーションを取ることはなく、業務時間はわりと仕事に集中しています。
作業内容・求められる仕事のレベル

当然ですが、「パートナーの日程調整」や「ミーティングの設定」などの業務は求められません。
また、特にBIG4で経験したような「膨大な量のテンプレートへの文書化」なども求められません。(あれ、本当に無意味だったなぁ…。)
具体的な作業内容
私の場合は、次の作業を担当しています。
勘定科目
- 未収入金
- その他流動資産
- 前受収益
- 未払金
- その他流動負債
- 純資産
その他
- 連結仕訳
- 連結キャッシュフロー計算書
- 仕訳テスト
一見して分かる通り、だいぶラクな科目を担当させて頂きました。(私、監査歴7年目ですよ。)
非常勤の職員は、(特に初年度は)このような分かりやすい科目を任される傾向にあるようです。
ここが常勤と非常勤の大きな違いだと感じます。
仕事をしていて悩むことがあまりないため、精神的にも負担が軽く、業務でストレスを感じることがほとんどありませんでした。
求められる監査のレベル
上述したように、非常勤の場合は比較的易しい科目を担当させられます。
また、特に中小監査法人の場合、求められる監査品質も(大手監査法人に比べて)低いようです。
というのも、大手監査法人ではグローバル基準の超高品質な監査が求められるのに対し、中小監査法人ではそのような括りが緩いためです。
>>参考:公認会計士・監査審査会「中小規模監査事務所の監査の品質管理について」
たとえば私はEYにいた頃、P/L項目についても十分な証憑突合をする等のルールがありました。(例えば、取引種類ごとに25件のバウチング等)
しかし、中小監査法人ではこのような(ムダとも思えるような)手続きは必要なく、驚くほど手続きがラクです。
ですので、特にBIG4出身の方であれば、「この監査手続きが足りない」などと指摘されることはまず無いかと思います。
監査に苦手意識のあった私ですが、中小監査法人で働いてみてからは苦手意識が減りました。(BIG4に戻ったらまた苦手になると思いますが…。)
女性(主婦の方や育児をされている方)には特にオススメ

私の契約している監査法人もそうですが、非常勤の会計士は女性比率が非常に高いです。
やはり「基本、残業なし」「毎日出社しなくて良い」というのが大きいのでしょう。
時給は(中小監査法人であれば)安くても 6,000円/時 もらえますから、バイトとしても申し分ないですよね。
というのも、市場で公認会計士の数が不足しているため、一度出産のために現場を離れても、出産後に戻らせてもらえる可能性は高いでしょう。
監査法人によって、非常勤の働き方は違う?

ここまでで、私の働いている監査法人をベースとした「非常勤の働き方」をご紹介しました。
上述の内容は、基本的にどの監査法人でも変わらないかと思います。
しかし、次に掲げる点は監査法人によって若干違いがあります。
監査法人によって異なる点
- アサイン先までの距離(遠隔地にアサインされる可能性)
- リモート業務の可否
- 給料
アサイン先までの距離
特に中小監査法人の場合、クライアント規模が比較的小さいことから、遠隔地のクライアント比率が高い可能性があります。(監査法人の意向により異なります。)
また、出張の過多も監査法人によって異なります。
出張に関する情報は、通常、非常勤の求人票に記載があるのですが、具体的なクライアント先までは記載のないケースが多いでしょう。
リモート業務の可否
こちらも大手監査法人とは異なり、中小監査法人の場合はリモートワークのための仕組みがない可能性もあります。
これは「紙ベース」での調書作成が基本となるためです。(大手監査法人ではほとんどの調書が電子化されていますが、中小監査法人では紙が基本です。)
給料
大きく異なるのが、給料です。
以前、下記の記事で監査法人14社の非常勤時給単価をリサーチしています。
>>関連記事:公認会計士のバイトの時給は、超高単価です【バイトの探し方と実情】
リサーチ結果によれば、最も時給の低い法人は「4,667円/時」、最も時給の高い法人は「8,571円/時」でした。
このように、監査法人によって時給単価は大きく異なるため、正しい求人選びが大切になります。
また、中小監査法人の方が時給単価は高くなる傾向にあります。
本業や私生活とのバランス

本業や育児・家事の合間に稼げるのが、非常勤の大きなメリットです。
ここで、よく聞かれるのが
という疑問です。
アサインのない日にまで仕事が発生してしまっては、本業や私生活に影響が出てしまいます。
私の場合ですが、アサインのない日は基本的に監査法人の仕事はしません。
というわけで、私の場合はアサインのない日は100%本業またはプライベートに充てています。
仕事の心配事や不安をプライベートに持ち帰ることがないため、ストレスはゼロです。
まとめ:働きやすい監査法人非常勤の探し方とは?
まとめです。
まとめ
- 非常勤では、単純な仕事だけが割り振られる
- 特に中小監査法人では、品質の基準がゆるめ
- アサイン外の日程での仕事はゼロ
- 「給料」は監査法人によって大きく変わる
非常勤を募集している監査法人の探し方は、次の記事でご紹介しています。
>>関連記事:監査法人非常勤がオススメな理由+求人の探し方3選【給与明細公開】
求人選びさえ間違えなければ、ラクに大きく稼げますよ。