公認会計士・税理士の藤沼です。

今回は「IFRSを活用した転職先」について、情報をすべてお伝えします。

この記事を書いた人

藤沼 寛夫

藤沼 寛夫

35歳
公認会計士・税理士

2014年  2月 EY新日本監査法人 入社
2018年  7月 FAS系コンサル事務所 入社
2019年10月 藤沼会計事務所 開業
2020年  4月 税理士登録

情報インタビュイー

A.Eさん

A.Eさん

37歳
公認会計士

BIG4監査部門 3年
BIG4アドバイザリー(IFRS) 5年
上場IFRS経理 5年

 

会計士がIFRSを活用できる転職先

会計士がIFRSを活用できる転職先

IFRSのスキルを活用できる転職先は、次のとおりです。

 会計士がIFRSを活用できる転職先一覧

  • BIG4(監査部門)
  • BIG4(アドバイザリー部門)
  • 中小監査法人(監査・アドバイザリー)
  • 国内系FAS
  • 上場会社の経理(IFRS導入予定フェーズ)
  • 上場会社の経理(IFRS導入済み)
  • 会計事務所(アウトソース系)

網羅的に列挙しましたが、これらは大きく、

  1.  外部コンサルとして関与
  2.  自社での導入プロジェクトに関与
  3.  導入済み自社での関与

の3つに分けることができます。

「転職先で何がやりたいのか」という視点で、転職先を見据えてみると良いでしょう。

 

① 外部コンサルとして関与

「外部のアドバイザーとして、やりがいを得たい」という方には、次の選択肢があります。

  • BIG4(監査)
  • BIG4(アドバイザリー)
  • 中小監査法人(監査・アドバイザリー)
  • 国内系FAS

※ 監査としての関与はコンサルではありませんが、外部関与という意味で上記に含めています。

このうち、監査から離れてIFRSコンサルに関与したい方は、「BIG4のアドバイザリー」または「国内系FAS」のいずれかを選択することになります。

なお、品質の高さはBIG4一強です。

IFRS系はBIG4の主戦場でもあるため、BIG4でIFRSを経験 → 事業会社へ転職する というケースが多いです。

また BIG4の特徴として、「IFRS関連のセミナー講師」「経理系雑誌への寄稿」など、本業以外のプロジェクトに関与できるケースがあります。

ただし、IFRS分野への転職を考えている会計士の多くは、すでにBIG4でIFRSに触れていると思いますので、あえてBIG4アドバイザリーを選ぶ必要性は低いかもしれません。

一方、中小監査法人や国内系FASではBIG4での経験を高く評価されますから、「組織内での評価」に重点をおく方は、中小監査法人または国内系FASを視野に入れると良いかもしれません。

※ いずれの場合も、IFRS以外の業務に関与する可能性があり、この点は応募時にしっかりと確認してください。

 

② 自社での導入プロジェクトに関与

「組織内でIFRS導入フェーズから関与したい」という方には、次の選択肢があります。

  • 上場会社の経理(IFRS導入予定フェーズ)

後述しますが、IFRS導入はそのほとんどが上場会社で行われるため、自社導入プロジェクトに関与する場合には「上場経理」に転職するのが一般的です。

IFRSでは原則基準を採用しており、導入フェーズではゼロからIFRS調整の仕組みづくりを行うため、「そもそもあるべき処理は何なのか」と考える視点が身に付きます。

また、自らロジックを組み立て、会計処理を考えるクリエイティブさにも面白味があるでしょう。

なお、IFRS導入フェーズに採用された場合であっても、通常業務(伝票の承認や締め処理など)にも携わるケースが多く、経理としてのスキルも身に付けることができます。(下記③参照)

 

③ IFRS導入済み自社での関与

「経理部員としてIFRSに関与したい」という方には、次の選択肢があります。

  • 上場会社の経理(IFRS導入済み)
  • 会計事務所(アウトソース系)

すでにIFRS適用が完了した組織で経理として関与、またはIFRS適用会社からのアウトソーシング(BPO)として関与する選択肢があります。

ただし、アウトソースは海外に受注されるケースも多いため、日本国内でIFRSアウトソースを受注している会計事務所は少数です。

IFRS導入済みの会社では、作業がルーティン化されているため、業務負荷が比較的少ないという特徴があります。

また通常の経理業務として、たとえば

    •  経費締めのタイミング
    •  固定資産償却を回すタイミング
    •  原価計算を回すタイミング
    •  月次の会計を締めるタイミング

など、経理スケジュールの全体像を理解することができます。

これらの経験は、管理職として経理のボトルネックを把握し是正するなどのシチュエーションで活かせるほか、経理の一部外部委託(BPO)や、決算早期化などのプロジェクトでも活用することができます。

 

IFRS系に転職した場合の残業時間

IFRS系に転職した場合の残業時間

先述のとおり、IFRS関連の職種は大きく3つに分けられます。

もちろん企業によっても異なるのですが、ここでは残業時間の「大まかな目安」を述べておきます。

  • IFRSコンサル系 : 50~70時間
  • IFRS導入フェーズの事業会社 : 60~100時間
  • IFRS導入済みの事業会社 : 20~40時間

コンサル系(監査法人、FAS)は、残業時間が多い傾向にあります。

これは、IFRS導入支援プロジェクトに関与するケースが多いためです。

元々IFRSに強い人材が少ないこともあり、平均して50~70時間/月の残業が生じますが、プロマネが適切に機能していれば夏季休暇・年末年始の休暇が十分に取れるケースも多いです。

ただし、中小監査法人は組織ごとに状況が大きく異なり、残業時間がほぼゼロという法人もあります。

また、導入フェーズにある事業会社も同様に忙しくなりやすく、システム入れ替え時にトラブルが発生すると、導入後も残業時間の多い日々が続くケースがあります。

一方、すでにIFRSが導入されルーティン化されているような事業会社では、一般的な経理と同様に残業時間は少ない傾向にあります。

 

IFRS系で転職した場合、英語力はどの程度求められる?

IFRS系で転職した場合、英語力はどの程度求められる?

IFRS自体は、英語力がさほど高くなくても関与することができます。

情報インタビュイーのA.Eさんも、アドバイザリー側・事業会社側の双方でIFRSに関与していますが、IFRSに関連して英語力が求められたケースは少ないそうです。

ただし、IFRS導入企業では(結果として)英語力が求められるケースが多いです。

なぜなら、IFRS導入企業はグローバル展開しているケースが多く、IFRSに関係なく英語力が求められるシチュエーションがあるからです。

 英語力が求められるシチュエーション

  • クライアントの海外子会社へのヒアリング時
  • 本社の会計ポリシーを、海外子会社に展開する時
  • 海外子会社からの英語での問い合わせがあった時
  • その他、社内公用語が英語の場合など

英語の活用度合いを意識されている方は、事前に転職エージェントから情報を入手し、かつ採用面接でしっかりとヒアリングしておくべきです。

余談ですが、BIG4(監査・アドバイザリー)では「英語が話せない」という人が多数派であり、英語での会話が求められる際は英語のできるメンバーが集められます。

 

IFRS系に転職した場合のメリット

IFRS系に転職した場合のメリット

会計士がIFRS系に転職した場合、次のようなメリットがあります。

  • 年収水準が高い
  • 事業会社での評価が高い
  • スキルの汎用性が高い

 

① 年収水準が高い

実際に求人を見ると分かりますが、IFRS系の求人は他の求人に比べて、年収水準が高いという特徴があります。

下記は、一部の公開求人のうち「会計士向けのIFRS経理求人」を集計したデータです。

IFRS経理の平均年収(会計士向け求人ベース)

(引用:マイナビ会計士公開求人データ

上記を集計し、通常の経理の平均年収と比較すると、次のようになりました。

  • 通常の経理:平均773万円
  • IFRS経理  :平均824万円

そもそも会計士の求人はどれも年収が高いですが、IFRS経理の求人は(通常の経理よりも)更に50万円ほど高くなっています。

また、英語力がある場合には 約100万円 も年収が上がります。

その他の転職先の年収は、次の記事でまとめています。

 

② 事業会社での評価が高い

特にBIG4では、IFRS基準全般についての知識が培われます。

これは、様々なチームでIFRSに触れたり、社内でIFRS研修を受ける機会があったりと、IFRS基準を体系的に理解できる環境があるからです。

そして 外に出てみると分かりますが、IFRSを体系的に理解している人は意外と少ないです。

そのため、日本基準・IFRS基準を体系的に理解している会計士は希少価値が高く、特に事業会社では経験を高く評価されます。

 

③ スキルの汎用性が高い

IFRSは 汎用性の高いスキルです。

基準の全てを知るには時間がかかりますが、典型論点(有給休暇債務、有価証券、固定資産など)があり、IFRS系であればどこへ行っても活用できる知識です。

個人的に、(希少価値の高さも相まって)監査の次の汎用性の高いスキルだと感じています。

そのため、身に付けたスキルがどこへ行っても活用しやすい、というメリットがあります。

 

IFRS系に転職した場合のデメリット

IFRS系に転職した場合のデメリット

一方、会計士がIFRS系に転職した場合、次のようなデメリットがあります。

  • IFRS導入フェーズは、残業時間が多い
  • 外資色(外資の発言力)が強いケースがある

 

① IFRS導入フェーズは、残業時間が多い

コンサルや事業会社内でIFRS導入に関与する場合、残業時間は増えます。

一方で、得られる経験値は豊富であるため、ワークライフバランスとどちらを重視するか、という視点で転職先を選ぶ必要があります。

 

② 外資色(外資の発言力)が強いケースがある

グローバル展開している事業会社の場合、本社が日本法人であっても、海外の発言力が強いケースがあります。

そのため、日系企業でありながら外資色の強い組織もあり、外資の言いなりになっている組織が存在します。

この点も、応募前にエージェントから情報を入手し、面接時にも見極める必要があるでしょう。

 

IFRS業界の市場動向と将来性

IFRS業界の市場動向と将来性

あくまで私の所感ですが、当面の間、IFRS関連の市場は安定的に広がり続けると思っています。

なぜなら、IFRS適用会社・上場会社数のそれぞれが、安定して増加し続けているからです。

IFRS適用会社数推移

(引用:金融庁「会計基準を巡る変遷と最近の状況」

ご存じのとおり、日本でのIFRS強制適用はないものの、任意適用会社の数は年々増加しています。

適用の目的は多種多様と思いますが、主として「海外投資家からの資金調達」が考えられ、そのため特に上場会社での適用件数が増加しています。

上場会社数推移

(参照:JPX「上場会社数・上場株式数」より作成)

上記のとおり、日本国内での上場会社数も増加し続けていることから、今後もIFRS適用へのニーズはゆるやかに増加するでしょう。

また、今後もIFRS15号、IFRS16号のような大規模改定があった場合には、一時的にIFRS市場全体でニーズが増えると考えられます。

ただし、日本はIFRSコンバージェンスのスタンスを取るため、10年~20年後にも今のようなニーズがあるかという点は1つのリスクであると考えられます。(つまり、IFRSと日本基準の差異がなくなる可能性がある)

 

IFRS系に転職した後のキャリア

IFRS系に転職した後のキャリア

先述のとおり、IFRS業界は平均的な給与水準が高いです。

そのため IFRS系に転職した後は、同様にIFRS系職種への転職を重ねることで、キャリアアップされる方が多いようです。

IFRSは汎用性が高いスキルですから、一度蓄積したナレッジをそのまま他所で活用できる点で、コストパフォーマンスにも優れています。

また更に希少価値を高めるために、IFRS×USGAAP等、他国の会計基準との掛け合わせによりキャリアアップされている方もいるようです。

※この辺りは非常にニッチですが、だからこそ希少価値を高めやすく、非常に儲かるフィールドであると思います。

 

IFRS系職種への転職難易度

IFRS系職種への転職難易度

IFRS経験のある会計士は希少価値が高く、需要が多いのが特徴です。

会計士であれば(そして30代であれば)転職難易度は低く、応募すれば高確率で内定まで進むでしょう。

インタビュイーのA.Eさんの場合、上場経理3社応募→3社書類通過→2社内定、という実績でした。

IFRSの経験に加えて、主査経験やSAP等の知見があると、更に高い年収を提示されるようです。

 

IFRS系に転職する会計士にオススメの転職エージェント

最後に、会計士におすすめの転職エージェントを紹介します。

  1. マイナビ会計士(おすすめ)
  2. レックスアドバイザーズ
  3. ジャスネットキャリア

会計士が転職する場合には、マイナビ会計士1択です。

なぜなら、唯一の会計士専門エージェントであり、会計士向けの求人数がNo.1だからです。

ただし、転職が初めての方は「担当者との相性」が重要ですから、複数のエージェントに登録しておくと良いでしょう。