公認会計士が転職するなら「30代がタイムリミット」と断言できる理由【客観的データがあります】

30代会計士におすすめの転職先と、キャリアの考え方を解説します。

公認会計士・税理士の藤沼です。

結論:公認会計士が転職をするなら30代がタイムリミットです。

なぜって?

公認会計士協会が行ったアンケート調査にて、採用企業側のニーズが30代でピークを迎えることが明らかになったからです。

また、40代に入るとニーズが激減することも公開されています。

つまり、転職するなら30代がタイムリミットです。

本記事では、タイムリミットの迫っている30代の公認会計士に向け、転職先の選び方・転職時の注意点を紹介します。

この記事を書いた人

1986年生まれ(38歳)
公認会計士税理士

2014年 EY新日本監査法人 入社
2018年 中堅コンサル事務所 入社
2019年 藤沼会計事務所 開業
2020年 アカウントエージェント株式会社 代表


目次

公認会計士が転職するなら、30代がタイムリミットと断言できる理由

会計士が転職するなら、30代がベストタイミングである理由

日本公認会計士協会のアンケート調査から明らかですが、会計士が転職するなら30代がベストです。

理由を簡潔にまとめます。

30代での転職がベストである理由
  1. 全体の約7割の企業が「30代会計士」を採用したい
  2. 転職する公認会計士のうち、半数以上が30代である
  3. なお実務経験年数は「3年以上」がベスト

なお、転職に適した年齢の詳細については、会計士の転職にベストな年齢・経験年数は?【タイムリミット有り】で全てまとめています。

では、それぞれ解説します。

全体の約7割の企業が「30代の公認会計士」を採用したい

下記は、「上場企業が採用したい会計士の年齢」に関するアンケート調査結果です。

採用したい公認会計士の「年齢」

選択肢回答件数割合
~30歳9423%
31歳~40歳28369%
41歳~50歳277%
51歳~60歳61%
 合計410100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)

会計士を採用する企業のうち、約7割が「30代会計士を採用したい」と回答しています。

20代も含めると、全体の9割以上の企業が「40歳以下の会計士を採用したい」と考えていることが分かります。

30代までが最もニーズの大きい時期と言えるでしょう。

転職する会計士のうち、半数以上が30代である

30代会計士に対する企業側のニーズは、上記のとおりです。

また、「実際に転職した会計士の転職時の年齢」に関するアンケート調査結果もあります。

転職時の公認会計士の「年齢」

選択肢回答件数割合
~30歳7037%
31歳~40歳9751%
41歳~2212%
 合計189100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)

会計士全体の半数以上が、30代で転職していることが分かります。

採用企業側のニーズが約7割であることを踏まえると、30代会計士は需要多寡、すなわち売り手市場であることが分かります。

以上の2つのアンケート結果により、会計士は30代で転職するのがベストタイミングであると言えるでしょう。

実務経験は「3年以上」がベスト

なお、年齢だけでなく「実務経験年数」についても触れておきます。

こちらも同様に、アンケート結果を参照します。

採用したい公認会計士の「実務経験年数」

選択肢回答件数割合
3年未満6917%
3年以上19949%
5年以上11428%
10年以上236%
 合計405100%
(JICPA「組織内会計士に関するアンケート最終報告」を基に作成)

約半数の企業が、「実務経験年数3年以上の会計士を採用したい」と回答しています。

ちょうどインチャージの経験ができる頃であり、採用企業側のニーズが最も高まるようです

以上をまとめると、年齢は30代、実務経験年数は3年以上が転職に適したタイミングと言えるでしょう。

30代の公認会計士におすすめの転職先

30代会計士におすすめの転職先

30代会計士には、非常に多くの選択肢があります。

具体的には、次の転職先がおすすめです。

※ 職種名をクリックすると該当項目にジャンプします。

※ 職種名をタップすると該当項目にジャンプします。

かなり多いですが、それぞれ解説します。

なお、会計士の転職先については、他の職種も含めて公認会計士の転職先を全て見せます。【監査法人から、その先へ】で全て紹介しています。

経理

会計士が監査経験を活かし、かつ残業時間を減らすことのできる転職先として、経理は人気です。

特に、30代後半になると体力面・ライフイベントを見越し、経理を選ぶ人が多いようです。

BIG4での主査経験は、経理内での管理職として即戦力になることから、社内評価も高く年収はむしろ上がるケースが多いです。

また、30代会計士は企業からのニーズが非常に強いため、普通では入社できないような上場経理への転職も容易にできます。

経理に転職した会計士の働き方については、経理に転職した会計士の「年収」と「キャリア」にて詳細解説しています。

ベンチャーCFO

IPOエンゲージメントでの主査経験がある会計士には、ベンチャーCFOもオススメです。

残業時間は多い傾向にあるものの、企業経営への知見を高めることができ、その後のキャリアの幅を広げることができるからです。

なお、監査経験のみでベンチャーCFOに転職する場合は、30代前半までの転職を目安にすると良いでしょう。

30代後半になると、(求人は多くあるものの)体力面での不安や、その後のキャリアについても不安要素が増えるはずです。

IPOが成功すれば良いですが、必ずしも成功するとは限りません。

30代後半では、「組織の不安定さ」というリスクも考慮し、転職先を考えると良いかもしれません。

ベンチャーCFOに転職した会計士の働き方については、会計士がベンチャーCFOに転職して得た経験・キャリアにて詳細解説しています。

経営企画

既に完成された事業会社において企業経営に参画したい方は、経営企画もオススメでしょう。

残業時間が多くなりやすいため、目指すのであれば30代中盤までが良いと感じます。

ただし、経営企画では企業会計の知識を活かすシチュエーションが少ないため、あくまで会計士としてのキャリアを重視する方は注意が必要です。

経営企画に転職した会計士の働き方については、経営企画に転職した会計士に聞く「働き方」と「その後のキャリア」にて詳細解説しています。

中小監査法人

大手監査法人に在職している方は、「監査法人だけは選択肢から除外する」と考えている方も多いはずです。

それはおそらく、BIG4内での激務・やりがいの無さを感じたからでしょう。

しかし、中小監査法人での働き方は、BIG4とは大きく異なります。(準大手監査法人はBIG4に近い部分がありますが)

中小監査法人によっては残業が非常に少なく、30代に入りワークライフバランスを考え始めた会計士には人気の転職先です。

また、年収もBIG4より上がるケースが多く、雇用条件はむしろ改善されやすいのです

監査業務自体に抵抗のない方は、中小監査法人も選択肢の1つに入れておくべきでしょう。

中小監査法人に転職した会計士の働き方については、中小監査法人への転職が、意外とオススメな理由【働いてみた感想】にて詳細解説しています。

監査法人アドバイザリー

BIG4系のアドバイザリーは、30代前半までの会計士におすすめです。

BIG4のアドバイザリーで身につくスキルは、一般的には「他の職で活用するため」に得るものとされています。(定年まで勤める人は極僅か)

そのため、まだ比較的体力などに余裕のある30代前半で経験しておくことで、その後FASや経理などでスキルを活用することができるでしょう。

BIG4でのアドバイザリーは1つのサービスラインに特化するため、「将来何に活かしたいか」を考え、逆算して関与するサービスラインを決めることをオススメします。

監査法人アドバイザリーに転職した会計士の働き方については、監査法人のアドバイザリーに転職した、会計士のキャリアにて詳細解説しています。

FAS

FASは、コンサルに興味のある30代会計士におすすめの転職先です。

私自身も、32歳で監査法人からFASに転職しました。

一言にFASといっても業務は多種多様ですが、最もオーソドックスなサービスラインは「M&Aアドバイザリー」です。

M&Aからのキャリアは非常に汎用性が高く、この先キャリアアップを見据える若手会計士にはオススメです。

残業時間が多くなるというデメリットもありますが、監査法人のような精神的ストレスとは質が異なるため、私はそこまで疲れを感じることはありませんでした。

FASに転職した会計士の働き方については、FASに転職した会計士が「仕事内容」「キャリア」にて詳細解説しています。

会計事務所

会計事務所は、独立開業を考えている30代会計士におすすめの転職先です。

独立に役立つスキルとしては、税務以外に「FAS」もありますので、FAS→会計事務所→独立開業というキャリアプランも有りです。

会計事務所に転職した会計士のキャリアについては、会計事務所に転職した会計士の「キャリア」とメリット・デメリットにて詳細解説しています。

30代の公認会計士による転職先の選び方

30代会計士による転職先の選び方

30代会計士ならではの「転職先の選び方」としては、次の5つの選び方が挙げられます。

30代会計士による転職先の選び方(代表例)
  1. キャリアが広がるような転職先を選ぶ
  2. ワークライフバランスを重視した転職先を選ぶ
  3. やりがいのある転職先を選ぶ
  4. 年収の上がりやすい転職先を選ぶ
  5. 将来の独立に適した転職先を選ぶ

人によって重視する軸は異なると思いますので、ご自身が重視したい項目を参考にしてください。

それぞれ解説します。

キャリアが広がるような転職先を選ぶ

「5年後・10年後にどうなりたいか」を考えることは、転職において大切です。

しかし、長期的なゴールを想像できる人は少数でしょう。(私もその1人です)

そんな方は、まず「将来の選択肢が広がるような転職先」を選ぶと良いでしょう。

具体的には、次の転職先ではキャリアの幅が広がる傾向にあります。

  • 経理
  • ベンチャーCFO
  • 中小監査法人
  • FAS

多くの方が複数回の転職を経験しますから、今回の転職が最後とは限りません。

30代で転職をし、その後40代でまた転職するかもしれません。

転職した後のキャリアも見据え、選べるカードが増えるような転職先を選ぶと良いでしょう。

ワークライフバランスを重視した転職先を選ぶ

30代に入ると、将来のライフイベントを意識される方や、体力面での懸念からワークライフバランスを重視する方が増えるようです。

具体的には、次の転職先ではワークライフバランスが整いやすい傾向にあります。

  • 経理
  • 中小監査法人

いずれも年間スケジュールが事前に把握しやすく、私生活を犠牲にするようなことは少ないでしょう。

年間を通じて残業時間の少ない会社・法人も多く、残業時間を減らしたい会計士にオススメです。

更に具体的な「ワークライフバランス重視の求人の探し方」については、下記の記事が参考になります。

やりがいのある転職先を選ぶ

先述のとおり、30代会計士に対する市場ニーズは非常に大きく、まだまだ精力的に働ける方も多いでしょう。

やりがいを重視するのであれば、次の転職先がおすすめです。

  • ベンチャーCFO
  • 経営企画
  • FAS
  • 会計事務所

大きくカテゴライズすると、「経営」又は「コンサル」はやりがいが大きいと言われます。

経営(ベンチャーCFO・経営企画)では、自らの意思決定が組織の成果として見えやすいという特徴があります。

コンサル(FAS・一部の会計事務所)では、クライアントから喜ばれ、感謝されるシチュエーションが増えます。

「自社への貢献」でやりがいを感じるか、「クライアントへの貢献」でやりがいを感じるか、という視点で考えると良いかもしれません。

やりがいを感じるシチュエーションは人によって様々ですから、転職エージェントを活用しキャリアカウンセリングを受けることで、自分が何に対して喜びを感じるのか深掘りすると良いでしょう。

年収の上がりやすい転職先を選ぶ

結論から言えば、(BIG4からの転職であれば)ほとんどの転職先で年収は上がります。

下記の記事内で、その客観的証拠を公開しています。

ここでは結論のみ示すと、会計事務所・税理士法人以外は多くのケースで年収が上がります。

また、特に希少性の高い職種は年収が上がりやすい傾向にあります。

「忙しさ」ではなく「希少性の高さ」というのがポイントです。

将来の独立に適した転職先を選ぶ

将来独立をする予定がある(または、独立するかもしれない)方は、次の転職先をオススメします。

  • 会計事務所
  • FAS

先述のとおり、独立開業のためには「会計事務所での経験」はほぼマストです。

しかし一方で、会計事務所に転職するとキャリアが「税務」に集中し、それ以外の方面でのキャリアの幅が狭まるというデメリットがあります。

そのような場合には、FASも経験できる会計事務所を選ぶと良いでしょう。

独立志向の会計士の転職先については、独立開業を見据えた会計士が選ぶべき転職先と、具体的な選び方で詳しく紹介しています。

30代の公認会計士が転職する際の注意点

30代会計士が転職する際の注意点

先述のとおり、30代会計士は転職市場での需要が大きく、転職する会計士も多いです。

ただし、転職する際には次の点に注意が必要です。

30代会計士が転職する際の注意点
  • 高確率で内定が出るため、事前リサーチを大切に。
  • 30代後半は、即戦力が求められやすい。
  • 「転職後の転職先」も見据えておく。

それぞれ解説します。

高確率で内定が出るため、事前リサーチを大切に。

30代会計士であれば、転職は非常に楽です。

実際、転職エージェントに登録すると分かりますが、有名企業の求人を数多く紹介されます。

私は32歳で転職活動をしましたが、(お試しも含めて)書類選考に10社応募し、うち9社が書類選考を通過できました。

その後4~5社に絞って最終選考を受けましたが、全ての企業から内定が出ました。

驚くほど簡単に内定が出ます。

だからこそ、企業選びは慎重に進めましょう。

たとえば、私は面接時に業務内容を確認することなく(求人票に記載された業務内容だけを見て)入社を決めてしまいました。

その結果、入社前に想定していた業務内容とギャップが生まれ、やや後悔することになりました。

転職活動は仕事をしながら進めることになるので面倒ですが、人生がかかっていますから、事前リサーチは慎重に進めてください。

失敗しないための転職活動については、公認会計士の転職失敗事例【6つの実例+5つの解決策】で詳しく解説しています。

30代後半は、即戦力が求められやすい。

一般的に、転職市場では「35歳の壁」があり、30代後半になると転職が難しくなると言われています。

しかし、会計士限っては例外であり、30代後半であっても求人は数多く残されています。

ただし、30代後半になると(組織内の年齢構造的に)即戦力が求められやすい傾向にあります。

すなわち、未経験の職種への転職がやや難しくなるのです。

そのため、未経験職種にチャレンジする場合は30代前半までにキャリアを見据え、転職しておく必要があるでしょう。

「転職後の転職先」も見据えておく。

今回の転職が、キャリアのゴールとは限りません。

30代であれば、今後また転職によりキャリアアップする可能性が大きいです。

そんな時に回り道になってしまわないよう、できる限りその後の転職先・キャリアについても意識した上で転職活動をすると良いでしょう。

例えば、M&Aを選んだ後のキャリアはファイナンス寄りになりますし、税務を選んだ後のキャリアは税務に偏りやすくなります。

私たち会計士のキャリアは非常に幅広いため、企業ごとのキャリアプランについては、転職エージェントに聞いてしまうのが手っ取り早いでしょう。

30代の公認会計士が転職する際によくある疑問

30代会計士が転職する際によくある疑問

その他、30代の公認会計士が転職する際によくある疑問をまとめてみました。


30代の試験合格者が転職時に気を付けるべきポイントはありますか?

試験合格者の場合、「修了考査のための時間を確保できるか」を確認すべきでしょう。

また、試験合格者向けの(監査法人以外の)求人数はやや少ない傾向にあるため、個人的には修了考査合格後または受験後に転職活動されることをオススメします。

女性会計士が転職時に気を付けるべきポイントはありますか?

女性の場合、男性よりもライフイベントに対する考慮事項が多いでしょう。

気を付けるべきポイントは幾つかありますが、例えば「企業内に、産休明けに復帰して働いている会計士がいるかどうか」を確認することが大切です。

なぜなら、たとえ育休制度が整備されていたとしても、当該制度を運用できる雰囲気があるかどうかは別問題だからです。


30代の公認会計士におすすめの転職エージェント【比較表】

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会計士
ヒュープロ
(Hupro)
レックスアド
バイザーズ
MS-Japan人材ドラフト
マイナビ会計士ヒュープロロゴレックスアドバイザーズMS-Japanロゴ人材ドラフト
総合評価
( 10/10 )

( 9/10 )

( 8/10 )

( 7/10 )

( 7/10 )
求人数約5,000件約2,000件約1,500件約1,500件約500件
対象年代20代~30代20代~50代20代~30代20代~30代20代~50代
対応エリア・関東 
・近畿 
・愛知県
・静岡県
全国全国全国全国
設立1973年2015年2002年1990年2000年
資本金21億210万円2億2740万円6000万円5億8600万円3400万円
対象者公認会計士限定会計・税務会計系全般管理部門全般会計事務所
得意領域公認会計士・経理   
・会計事務所
・監査法人 
・コンサル 
・会計  
・税務  
・コンサル
・FAS   
・監査法人 
会計事務所
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先述のとおり、30代会計士のキャリアは選択肢が多く、良い意味で悩むことが多いでしょう。

まずは転職のプロに聞いてしまうのが、一番手っ取り早くオススメです。

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