0.どのような転職先があるか

転職先として候補に挙がるのは、通称MBBと呼ばれるマッキンゼー・ベイン・ボストンコンサルティングに加え、ATカーニー、アーサーディーリトル・経営共創基盤、ローランドベルガーなどが挙げられる。

1.会計士が戦略コンサルで働く場合の仕事内容

会計士が戦略コンサルで働く場合に関与する業務内容としては、以下の3つがある
1. ビジネスデューデリジェンス
2. クライアントに対する常駐型のサービス
3. エグゼクティブに対する経営戦略に関するアドバイザリーサービス

ビジネスデューデリジェンス

これらはクライアントが事業会社やPEファンドの場合に、事業の成長性、市場構造、事業計画の分析等をするものである。会計士であれば、事業の構造を売上高のブレイクダウン、コスト構造等から損益計算書を基礎に分析を進めていき、事業性を財務的に分析していく。他のデューデリジェンスと同様に、クライアントに対して、しっかりと分析した内容をプレゼンテーション資料としてまとめていき資料作成能力を身に付けることができる。

クライアントに対する常駐型のサービス

クライアントに対する常駐型のサービスで総合系のコンサルティングファームのみならず一部の戦略系コンサルティングファームもこのようなビジネスに参入する傾向にある。エグゼクティブに対するコンサルティングサービスとは異なり経営企画部のサポートという位置づけだが、実際にハンズオンに近い形で大手企業の意思決定にかかわることができるので、やりがいはある。例えば中期経営計画を策定する際に、自社の属する市場を分析したりSWOT分析等で業界内でのポジショニング分析を行う、等である。
会計士の方は会計士試験の経営学の科目で経営学の一般的な内容を学習するし、監査業務で経理や財務部の方と距離を近くして業務をやってきている経験があるので、違和感なく業務に入ることができる。

エグゼクティブに対する経営戦略に関するアドバイザリーサービス

次に、戦略コンサルティングファームの中で花形とも言われるエグゼクティブに対する経営戦略に関するアドバイザリーサービスがある。これは一般に経営戦略の立案と呼ばれるもので、クライアントの経営上の課題をゼロベースで分析・仮説を構築しながら分析を進めレポートとしてまとめていくもの。こちらは会計士としての論理的思考力に加えて、プレゼンテーション資料作成能力が必要になる。プレゼンテーション資料の内容としては自社の事業が競合に対してどのようなポジショニングにあるか、顧客やエンドマーケットはどのようなものが想定されて、その中でクライアント企業のシェアはXX%、Topシェアを握るにはXXとXXの施策が必要、といった示唆だしする等である。

2.会計士が戦略コンサルで働く場合のメリット

1. 高い報酬
2. 優秀な同僚・先輩とのネットワーク:外資系戦略コンサルではアラムナイと呼ばれる戦略コンサルのOB/OG/卒業生の集まり・ネットワークが充実している。
3. 仮説構築力や事業分析の能力を高い次元で身に付けることができる

高い報酬

戦略コンサルでは、特に外資系と呼ばれる戦略コンサルは高い報酬で有名である。ジュニアから昇進してコンサルタントになると大幅なベースアップ(1千万前後)に加えて、人事評価に応じたボーナスが加算され年収1千万は余裕で稼ぐことができるため、大手監査法人に比べて激務ではあるものの高収入である。

優秀な同僚・先輩とのネットワーク

MBBや他の外資系戦略コンサルでは、他のファームや業界に行くことを卒業というように表現しているファームもある。その意味では、退職後も、昔の同僚・先輩・上司といった縦と横の繋がりができているので、実際に案件受注や仕事の紹介等で多いに役立つ。

仮説構築力や事業分析の能力を高い次元で身に付けることができる

様々な同時並行的に進むプロジェクトにおいて、ゼロベースで問題解決能力・仮説(Aという問題を解決するための論点把握と解決)を繰り返し行うことによって、個別の案件のキャッチアップの速さがつき、アウトプットの正確性や分析の瞬発力が上がる。

3.会計士が戦略コンサルで働く場合のデメリット

1. 長時間労働
2. バリュエーションや財務モデリングなどといった財務主要スキルがつかない:仮説構築やプレゼンテーション資料作成に重きが置かれるので、投資銀行で行うコーポレートファイナンス業務での基礎スキルがつきにくい

長時間労働

1については、クライアントサービスなので、成果物のクオリティやアウトプットの高水準さが求められマネージャーによるレビューやクライアントへの報告が続き長時間労働になりがちである。

バリュエーションや財務モデリングなどといった財務主要スキルがつかない

2については、投資銀行で行うようなバリュエーションや詳細な財務分析は戦略コンサルで行う機会は少ないといえ、将来的に投資ファンドで働きたい場合に、そのようなスキルセットがつきづらくなる。

 

4.会計士が戦略コンサルで求められる能力

1. 地頭の良さ
2. クライアントに対するコミュニケーション能力
3. 会計を理解している点と論理的思考力

地頭の良さ

1について、様々なプロジェクトにアサインされる中、案件の全体像や調査を行う速さと正確性等においてキャッチアップ力の速さは地頭の良さと直結するものである(例:プロジェクトの概要とイシューの把握、およびコンサルティングでポイントになる市場シェア拡大、コスト競争力の改善などの論点把握等)

クライアントに対するコミュニケーション能力

2について、クライアントが期待する成果物、もしくは期待を上回るものを出すのがコンサルタントとしてのバリューなので、成果物のイメージに関するコミュニケーション能力は必須である(例:プレゼンテーション資料のキーメッセージを何にすべきか等を事前のコミュニケーションで明確にする等)

会計を理解している点と論理的思考力

3について、論理的思考力に関しては、プロジェクトにおいて認識される業界や成長率などのファクトを踏まえて、実際にクライアントに対して出す示唆(インプリケーション)をロジックを構成して、例えばAならばB、BならばC、ゆえにAならばCといった三段論法で示す等である。(例:クライアントが市場XにおいてシェアN%であるが、シェアアップするにはどのようにすれば良いかが課題な時に、競合の状況・顧客ベース・シェアを奪う余地のあるセグメントは何かをファクトとして集め、ボトムアップでロジックを構成して示唆だしするなど)

5.戦略コンサルからのキャリア

1. PEファンド:戦略コンサルで培った問題解決能力や仮説思考能力を実際の投資業務に活かすことが可能
2. 事業会社の経営企画:ハンズオン型の常駐型のコンサルティングサービスと同様に、事業会社の成長をコンサルタントとしての専門性を生かしながらサポートできる。
3. 投資銀行:戦略コンサルでは磨けないコーポレートファイナンスやM&Aの知識やアドバイザリーサービスの経験を多く積むため、そしてさらに高い報酬を得られる。

PEファンド

1について、戦略コンサルでPEファンド向けのビジネスDDを経験することで将来的にPEファンドを目指す方が多く、転職エージェントや知人の紹介経由で転職する方が多い。

事業会社の経営企画

2について、事業会社の経営企画に関しては、戦略コンサルで事業会社に対するハンズオンアドバイスやプロジェクトを経験した人であれば、実際の働きで優秀と認められクライアントに誘われて転職する人もいれば、多少待遇を下げてでもワークライフバランスの整った事業会社に転職を希望する人も多く、自ら転職エージェントや知人の紹介経由で転職する方が多い

投資銀行

3について、戦略コンサルでM&A案件にかかわると言ってもPMIやビジネスDDが多いので、案件の提案からエグゼキューションに従事できる投資銀行を志向する方もいて、とくに会計士はファイナンスの素養があるので転職エージェントや知人の紹介経由で転職する方はいる。