公認会計士・税理士の藤沼です。

会計士が「年収」を大きく上げる転職先としては、PEファンドが1つのゴールとなります。

ただし、PEファンド × 会計士 というキャリアは希少であり、Webサイトを探しても 中々情報が出てきません。

そこで今回は、PEファンドへ転職された会計士にインタビューを行い、私の知見も含めて情報をご提供します。

私自身も FASでの就労経験がありますので、他のコンサルとの違い などもお話します。

 

 情報インタビュイー

 花山さん

  • 大手監査法人:3年間M&Aコンサルに従事。
  • 外資系投資銀行:4年間クロスボーダー中心のM&Aコンサルに従事。
  • PEファンド:現在はPEファンドにて、ディールソーシング・検討・エグゼキューションに従事。

 

会計士によるPEファンドでの仕事内容

会計士によるPEファンドでの仕事内容

会計士がPEファンドへ転職すると、次のような仕事を任されます。

 PEファンドでの仕事内容

  • ディールのソーシング(投資先の模索・開発)
  • ピッチブック作成(プレゼン資料の一種)
  • ディールの条件の検討
  • エグゼキューション(買収スキームの作成、プロセスレターの作成、投資委員会資料の作成など)

ピッチブックとは、投資先のビジネスモデルを示したプレゼン資料を言います。

ファンドでは、投資家を募ることも事業領域に入りますから、投資家に対し いかに優れたビジネスであるかを示す必要があるのです。

プロセスレターとは、ディールのスケジュール等を記した概要書を言います。

 

FAS・投資銀行との違い

FAに携わるという意味では、FAS(ブティック系・BIG4系)や投資銀行(IB・IBD)でのサービスに似たところがあります。

しかし、大きく異なるのは「アドバイザーではなく、プリンシパルとして投資に関与する」という点です。

PEファンドでの役割は、LP投資家から集めた資金でいかに収益を獲得するか、です。

そのため  いかに良い投資先を見つけ、収益性を高められるかが求められます。

よって、FASや投資銀行のクライアントが 買収企業・被買収企業であるのに対し、PEファンドのクライアントはLP等の投資家になります。

 

戦略コンサルとの違い

収益性の向上という視点が必要となる点では、戦略コンサルとも似た部分があります。

しかし、PEファンドでは財務モデリングのスキルや、ファイナンスの素養が必要となるため、この点が戦略コンサルと大きく異なります。

また、FAS・投資銀行との違いと同様、クライアントが当事者となる組織であるか投資家であるか、という違いも大きいです。

>>関連記事:戦略コンサル会社で働く公認会計士の「働き方」と「キャリア形成」

 

監査経験は活かせる?

PEファンドでは、監査経験を活かせる機会がほとんどありません。

なぜなら 上述したように、仕事内容が大きく異なるためです。

たとえば、投資後に管理会計システムなどを改善する機会があれば、監査先でのシステム運用を思い出しながらベストプラクティスを模索する…という活かし方も考えられますが、極めて限定的です。

そのため、監査法人から直接PEファンドに転職するのは、かなりの難易度となるでしょう。(バックボーンが必要です)

 

投資銀行でのスキル・経験は、どのような業務に活かせるのか?

PEファンドに最も近いフィールドが、投資銀行です。

投資銀行でのスキル・経験のうち、PEファンドで活かせるものは次のとおりです。

  • M&Aファイナンスの知識
  • LBOを含む財務モデリングのスキル
  • 財務分析や株価分析のスキル
  • ピッチブックの作成スキル
  • 業界分析やリサーチの経験

このように、投資銀行(IB・IBD)でのスキルは、非常に広範囲に活用できます。

そのため  PEファンドへの転職の前に、投資銀行や経営コンサルで経験を積む方が多いのです。
>>関連記事:投資銀行へ転職した会計士の働き方と、面接対策のポイント

 

PEファンドでの仕事の「やりがい」は何か?

PEファンドでは、自ら主体的に働ける点で「やりがい」を感じます。

たとえば、

  1. LBOモデルを作成
  2. 投資に対する仮説・Issueを自分なりに考え、シニアメンバーに共有
  3. コンセンサスを取り、案件の中心メンバーと働く

といった具合です。

※ LBO(レバレッジド・バイアウト)とは、金融機関から借入を行い、対象会社を買収することを言います。

もちろんクライアントの目もありますが、監査とは違い、クリエイティブ性が強いです。

また、投資先を検討する際の財務分析・バリュエーション分析の速さと正確さを両立できるようになると、投資先を選定するセンスの向上を実感でき「やりがい」を感じます。

 

会計士がPEファンドへ転職した際の待遇

会計士がPEファンドへ転職した際の待遇

公認会計士がPEファンドへ転職した際の「職階」「年収」を確認します。

 

職階

PEファンドでの職階は、次のとおりです。

  1. アナリスト
  2. アソシエイト
  3. シニアアソシエイト
  4. ヴァイス・プレジデント
  5. ディレクター
  6. マネージング・ディレクター

投資銀行での職階と同様、2~4年で次のタイトルに進みます。

 

年収・ボーナス

PEファンドに転職した会計士が少なく、経験・組織によるとしか言えませんが、全体として年収水準は高いです。

というのも  PEファンドへの転職者は、ほとんどが「投資銀行」「経営コンサル」から構成されるため、前職の水準をスライドさせるケースが多いのです。

参考値ですが、たとえば年俸(ベース)は次のように推移します。

 PEファンドでのベース(参考)

  • アナリスト:700万
  • アソシエイト:1,000万
  • シニアアソシエイト:1,300万
  • ヴァイス・プレジデント:1,600万
  • ディレクター:2,000万
  • マネージング・ディレクター:2,500万

例えば ファイナンスの前職がある方は、アソシエイトからスタートすることが多く、ベースは最低でも1,000万を超えます。

※ 転職1年目のみ若干下回るケースあり。

これに加えて、ボーナスはベースの50~100%程度(固定)が入ります。

更に、ファンド特有のボーナスとして、特定の役職以上になると「キャリーボーナス」が付くケースがあります。

キャリーボーナスとは、ファンドが投資から得た利益の分配を言い、ある種 業績連動型報酬に近いボーナスです。

このように、PEファンドでは転職1年目から1,500万以上の年収が見込まれることから、会計士としてのキャリアのゴールの1つとも言えるかも知れません。

>>関連記事:会計士が転職すると、年収はいくらになる?【全業種調べてみた】

 

PEファンドの環境

PEファンドの環境

会計士がPEファンドへ転職した場合の「残業時間」「ストレス」を中心に確認します。

残業時間

ワークライフバランスは(投資銀行・戦略コンサルに比べれば)まだ整っており、残業がほとんどない週もあります。

ただし、多い時は週に20時間以上の残業があったりと、バラツキがあります。

 

ストレス

他のコンサルとは異なり、プリンシパルとして投資を行う為、クライアントに振り回されるようなストレスはありません。

しかし、投資先でのトラブルやLPからのプレッシャーなどは多少あります。

基本的に少人数のチームで行動し、人間関係が「合わない」と判断された人は、そもそも採用されないため、人間関係でのストレスは比較的少ない印象です。

 

求められる英語力

PEファンドでの仕事は、基本的にドメスティックにローカライズされているため、(投資委員会とのコミュニケーション・資料作成を除き)そこまで英語を使用しません。

ただし、全く英語を使用しないわけではないため、ビジネスレベルの英語力は必須です。

また、外資系ファンド や クロスボーダー案件を扱うのであれば、IBDレベルの高い英語力が必要とされます。

 

働く人のバックボーン

PEファンドの構成員は、ほとんどが投資銀行または戦略コンサル出身者で構成されます。

また、海外MBA保有者も多い傾向にあります。

上記のようなキャリアを経る必要があることから、年齢的には 30代以上のメンバーで構成されることが多いです。

 

PEファンドからのキャリア

PEファンドからのキャリア

PEファンドは、ファイナンス分野に進んだ会計士の 1つのゴールであると言えます。

順当に昇格すれば、(シニアアソシエイトになるだけで)年収2,000万はほぼ確実だからです。

PEファンド内でのキャリアアップを除くと、考えられる転職先は、「戦略コンサル」「投資銀行」「事業会社の経営企画」等が挙げられます。

ただし、これ以上の年収UPを期待することは難しいでしょう。

 

会計士がPEファンドへ転職した理由

会計士がPEファンドへ転職した理由

PEファンドへの転職理由として、多かったのは次の2点です。

  • 年収が高い
  • 希少価値が高く、job marketでの差別化になる

会計士 × PEファンド というキャリアは珍しく、希少価値が高いため、転職市場では高く評価されます。

しかし、年齢を重ねてしまうと  PEファンドへの転職は難しくなるため、30代までに転職される方が多いです。

 

会計士がPEファンドへ転職するための面接対策

会計士がPEファンドへ転職するための面接対策

「公認会計士」という点は武器になりますが、優秀なライバルが多いため、投資銀行と同様に 面接では「戦略」が必須です。

 

内定率は低い

PEファンドへの転職は  投資銀行以上にハードルが高く、経験・頭の良さ以上に「メンバーとの相性」が重視されます。

これは、PEファンドが小規模なチームで編成されるため、仕事をする上でコミュニケーションが多くなるからです。

ライバルもハイスペックな人材が多いため、内定率は数%となる可能性が高く、転職エージェントと相談・協力しながら入念に準備する必要があります。

 

面接でのアピールポイント

PEファンドの面接では、日系よりも外資系・日系大手の方がハードスキルを聞いてくる傾向にあります。

バリュエーションやLBOモデルに関する知識が問われることは多く、「自らが関わったディールでの役割」「バリュエーションでの論点」は即答できるように準備しておくべきです。

また  候補者のバックグラウンドによって、面接で聞かれる内容は異なりますが、財務モデルに関するテスト・口頭試問が行われる可能性も高いです。

そのため、自身のコアとなるスキルを確認しながら、面接でアピールすると良いでしょう。

外資系の有名ファンドになると、確実にLBOモデルのテスト+投資案のディスカッションが行われため、転職エージェントと相談しながら(過去の面接事例を聞いたりしながら)対策を行って下さい。

 

PEファンドに強い転職エージェント【会計士編】

会計士が転職する場合には、マイナビ会計士1択です。

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私自身も20社以上の転職エージェントを使いましたが、最も利用価値の高いエージェントであると感じました。
>>関連記事:【迷ったら1択】公認会計士がオススメする転職エージェント【比較20社】

PEファンドへの転職は、非常に困難を極めます。

必ず、転職エージェントと綿密に戦略を立て、粘り強く応募を続ける必要があるでしょう。

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