経営企画とは

経営企画には、大別として①経営目標の策定・実行、②経営管理及び③特命事項対応という3つのコア領域が存在します。具体的には、以下のような業務が含まれ、経営層・他部署、社外の利害関係者と密に連携しながら、取組みます。

経営戦略の策定・実行

  • 現状分析:自社の経営状況(財務面のみに留まらずあらゆる経営状況)、自社が属する業界全体や他社の状況、政治や経済動向等を把握し、経営層や社内の他部署に対して提供
  • 経営目標及び事業計画の策定:現状分析を踏まえて、自社の目指すべき目標を短期・中期・長期の別に策定し、その達成に向けた事業計画を立案
  • 事業計画を具現化するための実行案の策定と実行:事業計画を達成するために必要な施策を策定し、その実行をリード

 

経営管理

  • 予実分析:策定した事業計画と実績を対比し、原因分析を行う
  • フォローアップ:事業計画達成に向けた施策を策定し、場合によっては事業計画自体を修正

 

特命事項対応

  • アライアンス・M&A:他社との提携やM&A等、機密性が高い事項をリード
  • 新規事項への対応:明確な担当部署が存在しない新しい経営課題に対応

 

働き方

経営企画は、様々な経営課題に取り組むため、年間を通じて平均的に忙しいといえますが、特に多忙な時期として、事業計画策定を行う1月~3月が挙げられます。この期間において、進行年度の業績見込みの精緻化と翌年度の事業計画策定が同時並行で行われ、新年度にかけて経営層による事業計画の最終承認等が行われるためです。特に3~5年に一度のペースで策定される中期経営計画の終了年度に該当する場合は、翌年度からの新中期経営計画策定に向けて一層業務量が増加します。

また、M&Aのようなコーポレートイベントに従事する場合、最終的な意思決定を行う取締役会が開催される前の約1カ月間は、準備のため業務量が増加します。

一方で、全社的に業務がスローダウンするお盆や年末年始は、経営企画の業務量も比較的落ち着く傾向にあります。

平均的な残業時間は、繁忙期であれば~80時間(場合によってそれ以上)、平常時であれば~45時間が目安になります。

 

遣り甲斐や苦労

経営企画は、経営層と距離が近く、また、間接的に自社の意思決定に関与できるため、自社の経営を担う達成感や企業経営に必要な知見を蓄積できる点で遣り甲斐があります。また、社内外の様々な関係者とやり取りを行うため、人的なネットワークを構築しやすい点もメリットです。

一方、様々な関係者を取りまとめる必要があるため、周りの事情に振り回される、関係者間の調整に気を遣う点で苦労があります。また、業務範囲が広く、有象無象の事項に臨機応変に対応しなければいけない点でも苦労があります。

 

経営企画での公認会計士の仕事内容

主要な業務

公認会計士のバックグラウンドを有する場合、経営企画の業務のうち、特に財務・管理会計やファイナンスの知見が必要な分野での活躍が期待され、財務三表を含む事業計画(定量計画)の策定、予実分析、M&A等にアサインされる場合が多いです。

一方で、これらの業務に取り組むにあたり、会計・ファイナンスの知見や計数感覚があれば足りるわけではなく、自社の事業に関する深い知識、法律や規制も含めたテクニカルな知識も必要となります。

その他の業務

経営企画の業務範囲は幅広く、また、一般的に少数精鋭な人員体制であることから、公認会計士のバックグラウンドとは直接関係のない業務も担当しなければなりません。例えば、最近であれば、テレワーク制度導入のための仕組み作り、ESG対応指針の策定といった業務について、人事部や財務部(IR)と連携して取り組むケースもあります。

 

経営企画から評価されやすい経験・能力

公認会計士としてのバックグラウンド

一般的に経営企画にはその企業の中でも優秀な人員が配属される傾向にあります。特に、自社製品・サービスの販売や製造、業界動向に造詣が深いメンバーが揃っています。そのような経営企画の現場において、公認会計士が有する以下のような経験・能力が評価されます。

  • 財務・管理会計、ファイナンス関連の知見と職務経験に裏打ちされた経営企画に必要不可欠な計数管理能力
  • 会計監査やコンサルティングの現場で様々な企業(他社事例)に接してきた経験と知見
  • 会社法や税務等の会計・ファイナンス以外のテクニカルな知識

ソフトスキル

経営企画は、社内外の多様な関係者と関わり合いながら進めていく必要があります。例えば、事業計画を策定し、それをフォローアップする場合、他部署に対してシビアなお願いをしたり、積極的にリードする局面も出てきます。また、非定型的な業務にも対応することが必要です。そのため、以下のようなソフトスキルが評価されます。

  • 相手方と良好な関係を築き、スムーズに意思疎通できるコミュニケーシ能力
  • 非定型的な業務や環境の変化があっても対応できる柔軟性
  • 常に自社の状況や自社を取り巻く環境へアンテナを張る好奇心

 

公認会計士が経営企画に転職するメリット

公認会計士のバックグラウンドとの親和性

経営企画の業務を遂行する上で、財務・管理会計、ファイナンスに関する知見と計数感覚、また、エクセルやパワーポイントを使いこなせることは大きな強みとなります。例えば、事業計画を策定するにしても、最終的に自社のPLにどのような影響を与えるのかをモデル化し、プレゼンにまとめる作業が求められます。

この過程を通じて、「数値に強い」という専門性を通じて自社に貢献することは、大きな遣り甲斐となります。

経営企画の業務には、公認会計士としての知見を活かして即戦力として活躍できる余地が大きいといえます。

当事者として事業を推進可能

会計監査やコンサルティングに従事する中で、もっと深く、かつ、恒常的に一つの企業や事業に関与したいという思いを抱くことがあります。経営企画の業務は、まさに企業の中枢でかつ経営サポートに直接関与するため、当事者として企業や事業に深くコミットすることが可能となります。

そして、自分が作成し、分析したアウトプットに基づき、実際の経営判断がなされると、達成感が得られます。

待遇の良さ

経営企画は、単純化された業務が少ないということもあり、他の管理系職種に比して待遇が高まる傾向にあります。また、実態は泥臭い業務も少なくないものの、職種としてのステータスも高いとされます。そのため、事業会社に転身するに際して待遇を求める公認会計士に適した職種といえます。

 

公認会計士が経営企画に転職するデメリット

守備範囲の広さ

経営企画には、経営戦略や事業計画の策定、予実分析といった公認会計士としてのバックグラウンドを存分に活用できる業務がある一方、関係者間の調整や総務的なプロジェクト等、公認会計士としてのバックグラウンドを直接活用できない仕事も担当する局面が出てきます。また、全社横断的であったり、社内に適切な担当部署がない雑多な業務に対応するケースも多いため、専門家として一つの分野を掘り下げるキャリアを志向する場合には、経営企画は必ずしもマッチしないと思われます。

また、経営企画には、多様な関係者と良好な人間関係を構築する上で営業マインドは役に立ちますが、社内向けの業務も多く、「外部の顧客を開拓して専門サービスを提供する」ことに面白みを感じる方にとって、経営企画は物足りないかと思われます。

多様な関係者と向き合うストレス

経営企画は、自社の様々な部署や経営層の中間に立つハブのような存在であり、また必要に応じて社外の関係者との交渉も発生します。そのため、事業会社における他の管理部門系と比較して、相対する関係者が多いといえます。例えば、自社で取り扱うある商品の販売実績が落ち込んだとします。その場合、営業部門に販売状況を確認し、ボトルネックが物流や広告であれば、当該部門に追加でヒアリングし、その結果を経営層に報告し、必要に応じて外部のコンサルタントを起用して解決方法を模索するといったプロセスの中で、様々な関係者とのやり取りが必要となります。

また、経営企画から他部署に情報・資料提供を依頼する局面も多々ありますが、他部署からすると負担と捉えられ、反発されることもあります。そのため、社内であっても、相手方との力関係次第では頭を下げて対応を依頼することも必要であり、対人的なストレスの多さは覚悟すべきといえます。

 

経営企画に転職した後のキャリア

事業会社でのキャリア

経営企画は自社の状況を俯瞰できる職種ということもあり、自社のCOOやCFOといった幹部ポジションへの昇進を目指すことも考えられます。また、経営企画として培った知見は、(特に同業の)他社でも通用するものです。そのため、他社の経営企画への転身も考えられます。

更に、自社や競合他社の状況を的確に把握し、社内ネットワークが豊富なことが評価され、営業を含めた他部署へ異動して活躍するというキャリアパスもあり得ます。

コンサルやアドバイザーとしてのキャリア

経営企画を通して蓄積した、特定の業界への知見やネットワーク、また、経営関連のプロジェクトを推進するノウハウは、大手監査法人系を始めとしたコンサルティングファームにおいても評価される場合があります。コンサルティング業務における実務遂行やコンサルティングファームが顧客を獲得する上での営業を期待されるといえます。