公認会計士・税理士の藤沼です。

今回は、私たち会計士が転職したときの「年収」についてリサーチしました。

膨大なデータを元に調査したので、客観性は高いはずです。

転職を考えている会計士の方は、ぜひご参考くださいね。

この記事を書いた人

藤沼 寛夫

藤沼 寛夫

35歳
公認会計士・税理士

2014年  2月 EY新日本監査法人 入社
2018年  7月 FAS系コンサル事務所 入社
2019年10月 藤沼会計事務所 開業
2020年  4月 税理士登録

 

会計士が転職したときの年収一覧【業種別】

会計士が転職したときの年収一覧【業種別】

全412件のデータを精査し、会計士の転職先(業種)ごとの年収をまとめました。

詳しくは後述しますが、まず結論です。

 転職先での年収一覧表(降順)

業種平均値中央値
ベンチャーCFO956万円1,000万円
監査法人アドバイザリー909万円1,000万円
内部監査890万円775万円
経営企画801万円797万円
監査法人アシュアランス774万円750万円
経理773万円780万円
国内系FASファーム771万円750万円
税理士法人718万円725万円
会計事務所672万円625万円
戦略コンサルタントN/AN/A
投資銀行N/AN/A
PE(投資)ファンドN/AN/A

↑ 業種名をクリックしていただくと、詳細項目にジャンプします。

私たち会計士の転職先は、上記の 全12種 に分類されます。(参考記事:公認会計士の転職先を全て見せます【監査法人から、その先へ】

そのため  年収を参考に転職先を考えたい方は、上記の表をぜひ参考にして下さい。

なお、集計には次の仮定を採用しています。

  • ジャスネットキャリア の公開求人を対象に抽出
  • 全412件の求人を対象に、全件カウント
  • 「東京」の求人に絞って抽出
  • 「公認会計士」の求人に絞って抽出
  • 〇〇万円~△△万円のように範囲で掲載されるため、その平均値を集計

また、上記の年収に「残業代」は含まれていません。  これに関しては  私の転職後の給与明細をもとに、下の方で解説しています。
>>給与明細の項目にジャンプ

 

会計士の転職先ごとの年収【詳細】

会計士の転職先ごとの年収【詳細】

需要が多いと思われる順番で、細かな内容・考察を残します。

 

1.経理

経理の年収

全412件の会計士向け求人のうち、130件(全体の32%)が経理の求人でした。

全転職先の中でも  平均年収は中程度で、監査法人から転職しても年収が下がらない(むしろ上がる)可能性があります。

経理全体の平均年収は 773万ですが、この内訳として「求められるスキル」ごとに年収を見てみます。

 経理での年収の内訳

合計(130)773万円
求められるスキル・経験平均年収
M&A(12件)873万円
ベンチャー経理(6件)867万円
英語力(15件)860万円
IPO(16件)841万円
IFRS(9件)824万円
その他、一般的な経理(72件)709万円

M&Aコンサルティングの経験や、英語力(ビジネス英会話のできるレベル)があると、一般的な経理職に比べて 160万円 ほど年収が上がる傾向です。

「M&Aコンサルティングの経験」とは、例えば財務デューデリジェンス・バリュエーション(企業価値評価)を指します。 これらの経験は、主に 監査法人のアドバイザリー部門・国内系FASファームで経験できます。

一方、監査法人(アシュアランス)内でも多少経験のできる「IFRS」「IPO」のスキルがあると、一般的な経理職に比べて 130万円 ほど年収が上がるようです。

これらの経験があると  月収10万円以上の差が付きますから、たとえば「経理に転職する前に、別企業で経験を積む」というような選択肢も出てきますね。

 

2.国内系FASファーム

FASの年収

FASは  若手会計士からの人気が高く、412件 中 60件(15%)がFAS求人でした。

FASには様々なサービスがありますが、代表的なのが「M&A」「企業再生・事業再生」の2つです。

こちらも、それぞれ年収内訳を見てみましょう。

 FASの年収の内訳

サービスライン平均年収
M&A(16件)830万円
再生(9件)710万円
全般(35件)759万円
合計(60件)771万円

「全般」に該当するFASファームであっても、M&Aや再生を提供するFASはあります。(というか、M&AコンサルはFASならほぼ確実にやってます)

しかし、M&Aを専門に提供しているファームに比べると、年収は劣るようです。

また、再生系の年収が低いことも特徴的です。 エンドクライアントは再生を求める(業績が低迷している)企業ですから、報酬も多くはなく、私たちの取り分も減少します。

M&Aのスキルは、会計士業界ではかなり汎用性の高いスキルであることから、若手会計士から人気なのです。

実際、私もFASに転職しました。

 

3.会計事務所

年収_会計事務所

会計事務所も会計士の転職先として人気であり、求人数は412件 中 77件(19%)でした。

会計事務所は、代表(創立者)が「会計士」か「税理士」かによって、業務内容がやや異なります。

税理士が立ち上げた事務所では、資産税や相続税など、よりニッチな税務もサービスラインに含まれるケースが多いです。

一方、公認会計士が立ち上げた事務所では、一般的な税務に加え、FAS・会計監査 を提供するケースが多いです。

 代表者別の年収

代表(創立者)平均年収
公認会計士(26件)755万円
税理士(51件)630万円
合計(77件)672万円

会計事務所全体の平均年収は、(会計士の転職先としては)ワースト1位ですが、代表者ごとに年収が変わります。

会計士が代表の場合、FAS・監査を提供するケースが多いため、監査法人出身者でも即戦力となることから、年収は高くなる傾向にあります。

しかし 税理士が代表の場合、一般に会計士が不得意な「税務」が主戦場となるため、1年目の年収はほぼ確実に下がります。(平均値は630万円ですが、中央値は600万円でした)

独立するご予定のある方や、ガッツリと個人税務を学びたい方にはオススメですが、そうでない方には会計士が代表の会計事務所をオススメします。

会計士としての経験を職場で活かしながら 税務を学ばれた方が、事務所内での居心地も良いものになるでしょう。

また  私の体験談ですが、一部の税理士には会計士を敵対視されている方もいました。

 

4.監査法人(アドバイザリー)

監査法人(アドバイザリー)

監査法人アドバイザリー部門としての求人は、BIG4が大半を占めます。

求人数は全部で25件、そのうち22件がBIG4の求人でした。

法人規模平均年収
大手監査法人-内部統制(3件)1,000万円
大手監査法人-パブリック(3件)925万円
大手監査法人-M&A(2件)1,000万円
大手監査法人-IFRS(2件)850万円
大手監査法人-IT(1件)1,000万円
大手監査法人-再生(1件)850万円
大手監査法人-フォレンジック(1件)825万円
大手監査法人-新興国(1件)750万円
大手監査法人-一般(8件)871万円
合計(22件)909万円
中小監査法人は「アシュアランスに加えてアドバイザリーも経験できる」として求人を出しているため、アシュアランスでまとめて集計しました。

全体的に高いですが、新興国・再生といったサービスラインは、(クライアントの性質から)やや年収も下がるようです。

なお 監査法人のアドバイザリー部門(BIG4)では、主に次のサービスラインが用意されています。

 監査法人アドバイザリー部門のサービスライン

  • 財務デューデリジェンス
  • バリュエーション
  • 事業再生・企業再生
  • フォレンジック
  • PPA、のれん減損
  • その他(IFRS、IT、内部統制、パブリック、新興国など)

また、同一ファーム内からの「異動」という形を取るよりも、別ファームへの「転職」をした方が年収が上がるためお得です。

監査法人のアドバイザリー部門での働き方については、次の記事で解説しています。

 

5.監査法人(アシュアランス)

監査法人(アシュアランス)

監査法人のアシュアランス(監査部門)での求人は、全39件でした。

細かく見てみると、大手求人が10件、中小の監査+アドバイザリーが9件、中小の監査のみが20件でした。

法人規模平均年収
大手監査法人(10件)785万円
中小監査法人の監査(20件)750万円
中小監査法人の監査+アドバイザリ(9件)815万円
合計(39件)774万円

「監査業務」だけを比較すると、年収は  大手>中小  となるようです。(大きな差ではありませんが)

しかし、中小監査法人にアドバイザリーが入ると一気に逆転します。

不確定要素が多いため  詳細な考察は避けますが、BIG4内においても年収は  監査<アドバイザリー  となっており、その傾向は中監査法人でも同様のようです。

 

6.税理士法人

税理士法人

税理士法人での年収は  全転職先の中でワースト2位となりました。

理由は「会計事務所」と同様、税務が主戦場となるためです。

ただし、求人数自体は監査法人(アシュアランス)よりも多く、税理士業界の人材不足を強く感じました。

また、監査法人とは異なり、税理士法人では「大手か中小か」により少し年収に差が出ます。

法人規模平均年収
大手税理士法人(25件)753万円
中小税理士法人(31件)689万円
合計(56件)718万円

大手税理士法人の年収は、中小税理士法人よりも 64万円 ほど高いことが分かります。

その大きな理由は、大手では「英語力」が求められることです。

私も 転職活動をするまでは知りませんでしたが、大手監査法人とは違い、大手税理士法人では「英語力」が多くのケースで必要とされるようです。

TOEICの点数で言えば 720点以上が要求され、この点がネックになる方もおられるかもしれません。(私は英語ができないので転職できません)

また、大手税理士法人では 連結納税、事業承継、組織再編、移転価格、国際税務、リースなど、各分野ごとに募集している点も特徴的です。

 

7.ベンチャーCFO

ベンチャーCFOの年収

CFOの求人は全9件と最も少なく、「純粋なCFOの募集」としては2件のみでした。

どういう事かというと、実は 直接的にCFOを募集するケースは少なく、一般的には「CFO候補」として募集がなされます。

今回の集計には「CFO候補」の募集も含めています。

母数が少ないため、参考程度にしかならないかもしれませんが、それぞれ年収は下記のとおりです。

平均年収
CFOの募集(2件)1,050万円
CFO候補の募集(7件)929万円
合計(9件)956万円

年収は  会計士の転職先の中では最も高く、私たちのキャリアの1つのゴールとも考えられます。

なお、CFOのキャリアは(一般的には)IPOを目指し、上場後のストックオプション行使による報酬獲得が目標になります。

もちろん、上記の年収にはストックオプション行使による利益は含まれませんから、実態の年収はもっと高いはずです。

 

8.内部監査

内部監査の年収

意外と年収が高いのが、内部監査です。(正直、集計してみて驚きました)

こちらも母数が少ないため  やや信ぴょう性に欠けるかもしれませんが、会計士の転職先のなかではトップ3の年収です。

しかし、高い年収には理由があります。

英語力平均年収
英語力が必須(4件)1,012万円
特に必要なし(3件)727万円
合計(7件)890万円

ご覧いただくとお分かりのとおり、英語力の要求度合いで、年収が大きく変わります。

英語力の必要とされない内部監査の年収は、一般的な経理(平均709万円)とほぼ同水準です。

一方で、英語力が必要とされる内部監査では、なんと平均年収1,000万を超えます。(Min平均:662万円、Max平均:1,363万円でした)

繰り返しになりますが、こちらは母数が少ないため  参考程度にご確認ください。

内部監査への転職を希望している方は少ないかな、と思い  これ以上の分析は割愛します。

 

9.経営企画

経営企画の年収

Min:330万という異常値(?)とも取られる求人が混じっていますが、恣意性を排除するため  敢えて集計に含めています。

経営企画部では、公認会計士を採用する場合は「M&Aの経験」や「英語力」を要求されるケースが多いです。

要求される経験・スキル平均年収
英語力(4件)825万円
M&A(2件)888万円
その他(3件)710万円
合計(9件)801万円

こちらも母数が少なく、企業によって 要求するスキル・知見は異なりますから、あくまでご参考程度にとどめて下さい。

詳しくは経営企画に転職した会計士に聞く「働き方」と「その後のキャリア」で解説していますが、投資銀行出身者 や 同業種の経営企画出身者 が求められます。

M&Aへのニーズの理由としては、(特にIT企業などの場合)小さなM&Aが頻発するケースが多く、先方の言いなりにならず自社で価値算定を行いたい といった背景があるようです。

 

10.戦略コンサルタント

「純粋な意味での」戦略コンサルの求人は、見つかりませんでした。

戦略コンサルファームにおいて募集されていたのは「業務コンサル」としてのポジションであり、純粋な「戦略コンサル」はそもそも会計士に求めていないようです。

もちろん  戦略コンサルへ転職される会計士の方もいますが、経歴がバラバラであり、あまり参考になるデータは見つかりませんでした。

なお、戦略コンサルでの働き方などは、戦略コンサル会社で働く公認会計士の「働き方」と「キャリア形成」の記事をご参考ください。

 

11.投資銀行

投資銀行の求人は(公開されている求人数は)ゼロでした。

一般に  投資銀行は非常に年収が高いため、(応募殺到を抑えるため)非公開としているようです。

そのため 特に分析結果は残しませんが、詳細は投資銀行に転職した会計士のインタビュー記事をご参考ください。

ここでは簡単に結論だけ記載しますが、転職直後の年収は 1,000万程度 であり、4年後に1,500万、約10年後には 2,000万超 と昇級していきます。

ただし、ネイティブレベルの英語力とM&Aの経験が必須ですので、転職のハードルは高いです。

 

12.PEファンド

PEファンドの求人も(公開されている求人数としては)ゼロでした。

PEファンドは、ファイナンス分野のゴールとも言えるキャリアであり、転職直後から 年収1,000万 を超えるケースが多いです。

ただし、転職難易度は投資銀行よりもさらに高く、監査法人から直で転職することはほぼ不可能です。(その他の前職があれば別ですが)

こちらも投資銀行と同様、働き方などの詳細はPEファンドに転職した会計士へのインタビュー記事をご参考ください。

 

(参考)会計士歴4年半で転職した 私の年収【給与明細】

(参考)会計士歴4年半で転職した 私の年収【給与明細】

ご参考として、私自身の年収も共有します。

私は 2013年に公認会計士試験に合格し、2014年2月~2018年6月まで(約4年半)EY新日本監査法人で働きました。

その後 転職し、2018年7月から国内系FASコンサルで働きました。

業務はM&Aを始めとした全般的なFAコンサルでしたので、上記集計データに基づけは、平均年収「759万円」の部分に該当します。

では、実際の年収はどの程度だったのか? というと、

まず 年俸は 650万円 で契約しました。

会計士としての経験はまだ浅い方ですから、平均値を下回るのは当然かなと思っています。

ただし、これには残業代が含まれていません。

実際の月収(残業代込み)は、次のとおりでした。

 

FAS給与明細

2019年2月に退職したので、直近1月の給与です。

額面 76万円 なので、年収換算すると 912万円 ですね。

ちなみに、EY時代の年収は 約720万円 でした。(残業代込み)

転職しただけで 200万 近く上がったので、「監査法人での経験」というのは、転職市場で高く評価されるようです。

ちなみに、皆さんが気になる求人を見つけ、残業代込みの年収を知りたいという時は、年間の残業時間に@3,500円~4,000円前後を乗じて年俸に加えていただくことで、近い年収が導けると思います。

 

会計士が年収を下げないための転職テクニック

会計士が年収を下げないための転職テクニック

ここからは、私が転職活動で得た知見をお話します。

年収を絶対に下げたくない方は、次のテクニックがおすすめです。

  • 昇給率を確認する
  • 年収交渉をする
  • 早期に転職活動をスタートしておく

テクニックと呼べるほどのものではないですが、結構重要でした。

 

1.昇給率を確認する

監査法人時代は、「昇格」でしか年収は変動しませんでした。(正確には、1年毎に3,000円くらい月収が増えていましたが…)

しかし、ここまで昇給率が低い業界は珍しいです。これが普通ではないことを、知っておきましょう。

たとえば、大手総合商社の経理に転職した場合、1年で50万~100万ほど昇給します。

これは特殊な例ですが、企業によっては昇給率が高く、(初めは多少年収が下がったとしても)その後大きく年収を上げるケースもあるのです。

完全に企業の方針によりけりですから、一概に「この業種が良い」とは言えません。

気になる求人が見つかった場合は、転職エージェント等から昇給率も聞いておくと、リスク回避になります。

 

2.年収交渉をする

どこか 後ろめたさ があるかもしれませんが、絶対に年収交渉はすべきです。

交渉の時期は、内定を獲得した後 ~ 雇用契約を締結するまでの間 です。

自分で交渉するのは気が引けるという場合は、ここでも転職エージェントを利用し、間接的に伝えてもらうと良いです。

私もFASへの転職時、年収交渉により 600万 → 650万 に上げてもらいました。

一度契約をしてしまうと、(昇給がない場合は)数年は同じ年収で働かなければなりません。

また、交渉相手は「人事部」ですから、交渉をしたからと言ってその後働きづらくなる…、等ということはありません。

やるかやらないかで、生涯年収が変わります。 ぜひ、年収交渉をしてください。

 

3.早期に転職活動をスタートしておく

一番大切なポイントです。

転職の求人は流動的であり、良い求人はすぐに応募を締め切られます。

まずは転職サイト・転職エージェントに登録しておき、「定期的に求人を受け取れる仕組み」を作っておくべきです。

登録し 希望を伝えた後は、自分に合う求人を定期的に送ってもらえます。

そして、先述した年収表の平均値と見比べていただき、もし平均を上回る求人が出てきたら、応募を検討してみてはいかがでしょう。

私も 今回のリサーチ中に、いくつかお宝求人 を発見しました。

短い期間で求人を見ただけでは、運が大きく左右します。 運任せでキャリアを選ぶことのないよう、早めにエージェントに登録することをお勧めします。

 

【結論】若手会計士が転職すると、年収はほぼ確実に上がります

以上、会計士が転職したときの年収調査でした。

実態に近い年収が考察できたのではないかな、と思います。

結論としては、多くの会計士が転職によって年収を上げることができます。

ぜひ 先述の年収表をご参考いただき、今のご自身の年収と 比較してみてください。

そして気になる転職先(業種)があれば、転職エージェントから詳細を聞いてみて下さい。

以上、年収調査でした!

転職活動の一助になれば、幸いです。

>>関連記事:公認会計士の転職先を全て見せます。