公認会計士・税理士の藤沼です。

最近、20代で転職される会計士の方が増えているようで、当ブログ経由でご相談を受けることが増えてきました。

そこで今回は、20代で転職を考えている会計士の方向けに、「キャリアの考え方」「転職先」について解説したいと思います。

どのくらいの若手会計士が転職しているのか、市場動向も気になるかと思いますので、まずは転職する会計士の割合から解説します。

この記事を書いた人

藤沼 寛夫

藤沼 寛夫

35歳
公認会計士・税理士

2014年  2月 EY新日本監査法人 入社
2018年  7月 FAS系コンサル事務所 入社
2019年10月 藤沼会計事務所 開業
2020年  4月 税理士登録

 

20代で転職する会計士は、意外と多い。

20代で転職する会計士は、意外と多い。

結論から言えば、20代で転職する会計士は多いです。

過去にJICPAがアンケート調査を実施していますので、まずはその結果を見てみましょう。

① 20代で転職する会計士の割合

転職した会計士の年齢分布は、次のとおりです。

 転職した会計士の「年齢」分布

転職した会計士の「年齢」分布

(参照:日本公認会計士協会

  • 20代:約37%
  • 30代:約51%
  • 40代~:約12%

という結果でした。

また、「何歳で会計士試験に合格したか」という点も影響しますので、「転職時の実務経験年数」も参考に見てみます。

 転職した会計士の「実務経験年数」分布

転職した会計士の「実務経験年数」分布

(参照:日本公認会計士協会

  • ~3年:約14%
  • 4~5年:29%
  • 6~10年:35%
  • 11年~:22%

という結果でした。

10年以内に転職する人が全体の8割ほどなので、20代前半で監査法人に入所した方は、20代のうちに転職される方が多いと考えられます。

ちなみに私は28歳でEYに入所し、4年半(32歳)で転職しました。

 

② 会計士全体の離職率

以下の記事でマニアックな分析をしたところ、5年で半数以上の会計士が(監査法人を)辞めるという結論が導かれました。

具体的には、(若手会計士の場合)1年あたりの離職率が約11%/年となり、5年間で約55%の会計士が監査法人から転職しています。
※ただし、BIG4からの離職に限る。

以上、JICPAのアンケート及び離職率の分析結果でした。

20代に限った話ではありませんが、監査法人から転職する会計士は非常に多いです。

 

よくある20代会計士の(監査法人からの)転職理由

よくある20代会計士の(監査法人からの)転職理由

では次に、「なぜ20代で転職する会計士が多いのか」その理由(転職理由)を見てみましょう。

こちらはJICPAのアンケート結果のほか、OpenWorkという従業員口コミサイトが参考になります。

20代会計士の多くがBIG4(アシュアランス)に所属していると思いますので、「BIG4に所属している若手会計士」の退職理由をまとめたところ、次の3つの転職理由が多く見られました。

 よくある20代会計士の(監査法人からの)転職理由

  • 残業が多い、プレッシャーが強い
  • 仕事が面白くない
  • キャリアアップ、将来への不安

なお、会計士の転職理由は次の記事でまとめています。

 

① 残業が多い、プレッシャーが強い

具体的には、次のような理由が多く見られました。

  • 品質ばかり求められ、年々作業時間が増えている
  • リソースが少なく、1人に対するプレッシャーが強すぎる
  • 昇格しても残業時間が多く、夢がない

私がEYに入所した頃からずっとそうですが、監査業界では「品質の向上」が求められ続けます。

ゆえに残業時間は年々増加するのですが、これは監査というサービスの性質上、仕方のないこととも言えるでしょう。

体力のある人はBIG4に残り続けますが、多くの人は退職していきます。

私はとても体力が続かないと感じ、早々に転職しました。

 

② 仕事が面白くない

具体的には、次のような理由が多く見られました。

  • 本質的でない、ムダな作業が多すぎる
  • 仕事のやりがいが無い
  • 誰のために仕事をしているのか、分からない

転職した会計士たちと話していても、「二度と監査はやらない」という人は多いです。(ほぼ全員)

大量のテンプレート文書化などが要求される一方で、考える作業が年々減るため、「つまらない」と感じるのは必然です。

私自身も、やりがいを求めてFASコンサルに転職しました。

と言いつつ、独立後も監査をやっていたりしますが…。(利益率だけは本当に高く、ビジネスとしては良いと思います)

 

③ キャリアアップ、将来への不安

20代会計士の転職理由として、最も多かった理由が「キャリアアップのため」でした。

具体的には、次のような理由が多く見られました。

  • せっかく会計士になったので、監査以外の領域にチャレンジしたい
  • 上(マネージャー、パートナー)が詰まり過ぎている
  • この先「監査」のスキルだけで生きていくのは、不安すぎる

「会計監査」は汎用性の高いスキルであることから、監査法人での経験を活かしてキャリアアップする、という方がとても多いです。

私自身も、キャリアアップのためにEYから転職しました。

BIG4での経験は決して無駄になりませんが、(個人的主観ですが)主査を経験してしまえば、あとは他社でキャリアアップした方が効率的だと思います。

なお、年収は経験値に応じて自然とアップするため、「年収を上げるために転職した」という人は少数でした。

 

20代会計士に対する企業のニーズはある?

20代会計士に対する企業のニーズはある?

20代で転職する会計士は多く、転職理由も妥当なものが多いと思います。

では、「企業側の採用ニーズ」はあるでしょうか。

こちらもJICPAによるアンケート結果がありますので、見てみましょう。

 企業側が求める、会計士の「実務経験年数」

企業側が求める、会計士の「実務経験年数」

(参照:日本公認会計士協会

「3年以上」が約57%、「3年未満」が約20%ですから、3年の実務経験があれば約77%の企業は「欲しい」と感じるようです。

そのため、たとえば22歳でBIG4に就職した場合、25歳頃で企業のニーズが高まるため、転職するタイミングとしては最適と言えるかもしれません。

 

会計士が20代で転職するメリット

会計士が20代で転職するメリット

以上より、20代で転職する会計士は多く、企業側のニーズも(実務経験が3年あれば)高いという実態が分かりました。

では次に、「20代で転職することによるメリット」を見てみましょう。

こちらは、先述のOpenWorkの他、個別に実施したインタビュー結果も踏まえています。(他記事参照)

 会計士が20代で転職するメリット

  • キャリアの幅を広げやすく、キャリアアップしやすい
  • 内定率が非常に高い
  • 失敗できる

 

① キャリアの幅を広げやすく、キャリアアップしやすい

監査法人以外でのキャリアアップを目指すなら、早い段階で転職することが望ましいです。

なぜなら、「会計監査」は汎用性の高いスキルである一方で、習熟度が早く、5年程度で成長性が低下するからです。

定年まで監査に携わり続けるのなら別ですが、他の領域でキャリアアップを目指すのであれば、絶対に早い方が良いです。

30代後半にさしかかると、体力の衰えやライフイベントに備えるため、保守的な転職先を選びやすくなります。

そんな時にバックボーンが「会計監査のみ」では、低い評価・年収でスタートすることになるため、将来への不安が大きくなるでしょう。

体力のある若い時に様々な経験を積んでおくことは、想像以上に将来の役に立ちます。

私自身も、転職先での経験が独立後に思わぬ形で役立っており、「何事も経験だな」と強く実感しました。

 

② 内定率が非常に高い

実際に転職活動をしてみると分かりますが、「会計士である」というだけで、ほとんどの会社から内定が出ます。

私は32歳で転職をしましたが、10社の書類選考に応募し、9社通過しました。(ちなみに、その後の内定率は100%)

書類選考で落とされてしまった1社は、PEファンドでした。

「30代ならFASの経験が欲しい」という理由で落とされてしまったのですが、20代であれば「ポテンシャル採用」があるようでした。

ポテンシャル採用は20代の特権とも言え、よりハードルの高い転職先からも内定が獲得しやすいでしょう。

 

③ 失敗できる

これは私の主観も入るのですが、若い=失敗しても良い、と考える組織は多い気がします。(だからこそ、ポテンシャル採用があるのかもしれません)

私の事務所でも職員を募集していますが、20代の方には即戦力としての能力を求めておらず、どちらかと言うと人間性に問題がないかなどを見ています。

また、万が一キャリア選択を誤ったとしても、20代であれば十分に修正が効きます。

これも20代だけの特権と言えるでしょう。

 

会計士が20代で転職するデメリット

会計士が20代で転職するデメリット

個人的には、20代で転職すること自体にデメリットを感じません。

しかし 次のようなケースで転職する場合、多少のデメリット(リスク)があります。

 会計士が20代で転職するデメリット

  • 1~2年で辞める場合
  • 主査経験なしで監査法人以外に転職する場合
  • 会計士登録前に転職する場合

 

① 1~2年で辞める場合

前職を1~2年で辞めて転職する場合(かつ、職歴がその前職のみの場合)、面接時に必ず退職理由を聞かれます。

30代以降ではさほど気にされませんが、若いうちに短期間で転職すると、「協調性がないのでは?」「仕事ができないのでは?」といったネガティブな印象を与える可能性があります。

私の事務所でも、若くて職歴の浅い方が応募してきた場合、わりと突っ込んだ質問をします。

もちろん、正当な理由があれば全く問題ないのですが、誤解のないように転職理由を伝える努力は必要です。

ちなみに、回答として一番マズいのが「前職のチームが合わなかった」「監査が自分に合わなかった」などのネガティブな回答です。

ネガティブな回答は本当に印象が悪いので、ポジティブな表現に変換して回答されることを強くオススメします。

 

② 主査経験なしで監査法人以外に転職する場合

経理やFAS、会計事務所などに転職する場合、「主査経験の有無」を確認されるケースがあります。

経理であれば監査対応において、またFAS/会計事務所であれば各プロジェクト牽引において、主査経験(マネジメント経験)が活かされるからです。

主査経験があれば、採用時の評価に反映されるため、年収が上がり易くなります。(どの程度年収に反映されるかは、組織によって異なります)

マネジメント経験は監査法人以外でも経験できますが、キャリアアップよりも早期の年収アップを重視される方は、念頭に置かれると良いでしょう。

 

③ 会計士登録前に転職する場合

監査法人(及び一部の会計事務所)では、「試験休暇」が用意されます。

しかし、それ以外の組織に転職する場合、基本的に試験休暇は用意されません。

このため、会計士登録前に転職すると、修了考査に合格できないリスクが高まり、永久に会計士登録できなくなる可能性が出てきます。

特に、近年は修了考査の合格率が不安定になっていることから、会計士登録できないリスクには注意が必要です。

とはいえ、転職においては「試験合格者」が差別されることはほぼなく、会計士登録しているか否かは評価に影響しません。

関連記事:試験合格者(更新中)

「資格を名刺に書きたい」と考える方は、登録後に転職するのが安全です。

会計士登録と早期のキャリアアップを天秤にかけ、転職のタイミングを計ると良いでしょう。

 

20代会計士が転職する際の「キャリアの考え方」

20代会計士が転職する際の「キャリアの考え方」

「監査法人から転職したいけど、キャリアをどう考えれば良いのか分からない」という方は多いと思います。

思えば私たち会計士は、試験合格後の非常に短期間で就活した為、広い視点でキャリア設計(人生設計)をする機会が少なかったはずです。

ここでは、20代で転職した会計士へのインタビュー、及び私の失敗談も踏まえて、「キャリアの考え方」のヒントを書きたいと思います。

考え方は人それぞれのはずですので、あくまでキャリアを考える際のヒントとしてご参考ください。

 20代会計士が転職する際の「キャリアの考え方」ヒント

  • 「転職後の転職」も考える
  • キャリアの選択肢が広がるような転職先を考える
  • 転職活動での5つの軸

 

① 「転職後の転職」も考える

今回の転職が、人生最後の転職になるとは限りません。

人生は長いですから、多くの場合、今回の転職は通過点に過ぎないでしょう。

たとえば私の場合、将来独立することも考えていたため、税務にも関与できるFAS系の会計事務所に転職しました。

「今何がやりたいか」はとても大切ですが、「将来のやりたい事に役立つか」という視点もあります。

若ければ若いほど、転職を重ねることができますから、「踏み台としての転職」という視点でも考えてみると良いでしょう。

 

② キャリアの選択肢が広がるような転職先を考える

逆に、「将来何をしたいか分からない」という方も多いでしょう。

そんな方は「選択肢を広げるような転職先」を考えると良いです。

多くの選択肢が用意された転職先を選ぶことで、(現時点で明確にやりたいことが見つからなかったとしても)転職先で実際に業務を経験しながら、キャリアの方向性を考えることができます。

各転職先の「将来性」については、次の記事でそれぞれ画像を付けています。

基本的に、監査以外の職種であれば、キャリアの幅は広がりやすいです。

ただし、次の転職先はキャリアの選択肢を狭める傾向にあると思います。(アンケート等を経た、私の主観です)

 将来の選択肢が狭まる(可能性のある)転職先

  • 税理士法人
  • 事業会社の内部監査部

監査法人から税理士法人に転職される方、たまにお見掛けします。

明確な目的があれば問題ないと思うのですが、ぼんやりと「税務の知識も身に付けたいな~」と思っている方には、あまりオススメできません。

というのも、「会計×税務」というスキル、意外と汎用性がないのです。

税務分野には「税理士」という専門家がいますから、会計と税務とでは、それぞれ分業される傾向にあります。(つまり、両方をプロレベルでマスターした人材はそこまで必要とされない)

「会計×税務」と言うと聞こえは良いのですが、「実際どのようにキャリアで役立てるのか?」は事前に考えておくべきです。

また、内部監査部門もあまりオススメできません。

なぜなら、「内部監査」という経験を評価する会社が少ないからです。

内部監査の求人自体が非常に少なく、潰しが効きづらいため、少なくとも20代の方にはあまりオススメしません。

一方で、30代・40代になってから1つの会社に身を置きたい、という方には良いキャリアだと思います。

 

③ 転職活動での5つの軸

転職活動自体が初めての方も多いと思いますので、転職先選びの「軸」となる考え方を示しておきます。

網羅的な視点でキャリア・転職先を考えたい方は、どうぞご参考ください。

 転職活動での5つの「軸」と具体例

■ 仕事内容
  • 今までの経験を活かしたい?
  • 新たな経験を積みたい?
  • 好きな職種・業種は?
  • 英語・IFRSを活かしたい?
  • 会計?税務?ファイナンス?経営?
  • 事業会社?コンサル?
  • 独立向き?
  • やりがいはある?楽しい?
  • キャリアの幅は広がる?
■ 働き方
  • 定時(何時スタート?何時間勤務?)
  • 残業時間・ワークライフバランス
  • 勤務地
  • 出張・転勤の有無
  • フレックス・時短勤務
  • 副業の可否
  • テレワーク(リモートワーク)
  • 補習所・修了考査への配慮
■ 収入
  • 年収
  • 特別手当
  • インセンティブ報酬
  • 福利厚生
  • 会計士協会会費の負担
■ 組織、経営方針
  • 上場/非上場
  • 外資系、海外への事業展開
  • 従業員数、部署の人数、チームの人数
  • 離職率
  • 男女比率
  • 経営方針・経営理念に共感できる
  • 社風
  • 技術力・商品力が高い
■ 昇給、昇進、異動
  • 明確な評価制度
  • 研修制度
  • 人事制度
  • ジョブローテーションの有無
  • 異動希望の制度

上記は、あくまで転職先選びにおける「軸」の列挙です。

どの軸を重視すべきかは、「自己分析」及び「カウンセリング」を受け、慎重に考えましょう。

 

20代会計士がBIG4を辞める際の注意点

20代会計士がBIG4を辞める際の注意点

私はEYで働いていましたが、辞めてみて気付いた事が1つあります。

それは、同期・同僚の大切さです。

BIG4から転職するということは、新たなスキル・経験が手に入る一方で、会計監査の第一線から退くということです。

今のIPOのトレンドや、M&Aでの会計処理方法、最新の会計基準など、BIG4にいなければ得られない知見はあります。

結局BIG4を辞めても、BIG4の動向は気になります。

そんな情報を気軽に聞けるのが、BIG4で働いている同期・同僚です。

ぜひ、辞める時こそ同期・同僚との繋がりを大切にしてください。

月並みですが、本っっっ当に重要な事です。

 

20代会計士の転職先とその特徴

20代会計士の転職先とその特徴

会計士の転職先は、全12種あります。

詳しくは上記記事が参考になりますが、ここではザックリと各転職先とその特徴を記したいと思います。

 20代会計士の転職先とその特徴

事業会社
経理部
  • 会計の知識がフルに活かされる
  • ワークライフバランスが整いやすい
内部監査部
  • キャリアの幅が狭まるため、あまりオススメできない
経営企画部
  • 経営、M&Aのスキルが身に付く
  • 転職難易度が高い
ベンチャーCFO
  • 経営に関与できる
  • 激務
FAS系
BIG4のアドバイザリー
  • FASの各サービスに特化して従事する(分業&高品質)
  • 激務
国内系FAS
  • FASの各サービスを横断的に経験できる
  • 幅広い経験を積める
税務系
税理士法人
  • 税務に特化
  • 税務は会計スキルと絡めづらく、あまりオススメできない
会計事務所
  • 税務以外にも、監査、FASなど幅広く経験できる可能性あり
  • 独立志向の方にオススメ
その他
PEファンド
  • M&A、金融など、多くの経験が必要
  • 激務&転職難易度が高い
投資銀行
  • 金融系キャリアのゴール
  • 激務&転職難易度が高い
戦略コンサル
  • 会計スキルはほぼ使わない
  • 激務&転職難易度が高い
中小監査法人
  • BIG4とは環境が大きく異なる
  • BIG4よりも昇進しやすい

※ 各職種名をクリックすると、それぞれ個別記事にジャンプします。

 

20代会計士にオススメの転職エージェント

20代の会計士向け
オススメの転職エージェント Top 3

No.1 マイナビ会計士
業界最大手! 会計士向けの求人数はNo.1
No.2 Rexアドバイザーズ
会計士・税理士に強い。 カウンセリングが魅力的
No.3 ジャスネットキャリア
士業に特化したエージェント。 コンサル系に強い

20代会計士の方であれば、マイナビ会計士の利用をオススメします。

なぜなら唯一の会計士専門エージェントであり、求人数も最も多いからです。

特に転職が初めての方は、キャリアのカウンセリングが必須になります。

できる限りキャリアの幅を狭めないよう、多くの選択肢を提供してくれるエージェントを利用することをオススメします。