公認会計士・税理士の藤沼です。
監査法人を退職し、独立のかたわら、監査法人で非常勤職員をしています。
月に16日働けば、年収1,000万です。(残業なし)
すでにご存じの方も多いと思いますが、会計士は非常勤になった方が断然稼げます。(しかもカナリ楽…!)
そして金銭面以外にも、メリットは色々とあります。
そこで本記事では、「監査法人の非常勤がオススメな理由」と「高時給の非常勤の探し方」をご紹介します。
想定読者
- 公認会計士として独立される方(又は独立されている方)
- 女性会計士の方
- 責任が軽く、ストレスのない仕事をしたい会計士の方
なお参考情報として、私の「非常勤」の給与明細も載せています。
実際に「非常勤」がどのくらい稼げるのか、知って頂ければ幸いです。
>>私の給与明細にジャンプ
目次
監査法人での非常勤が超おすすめな5つの理由
そもそも「非常勤とは何なのか?」と言いますと、アルバイトやパートと同じであり、呼び方が異なるだけです。
※ 契約形態が「雇用契約」なのか「業務委託契約」なのかという形式の違いはありますが、実質は同じです。
私が監査法人で非常勤として働いてみたところ、メリットが5つありました。
監査法人非常勤のメリット5つ
- 給料(時給)が2倍になる
- 拘束時間が短い
- 人間関係がフラット
- 主査を任されない
- 人脈が広がる
もちろんデメリットもありますので、こちらも後述しています。
メリット① 給料(時給)が2倍になる
耳にしたことのある方も多いと思いますが、監査法人の非常勤は給料が非常に高いです。
その情報が本当なのか、実際に調べてみました。
以下の図は、2020年8月10日現在における、東京都内にある監査法人の非常勤時給単価です。(15法人で比較)

(情報Source:JICPA Career NAVI)
監査法人によっては時給単価に幅をもたせている法人(たとえば時給6,000円~8,000円など)もありますが、ここでは低い方の金額を集計しています。
グラフから分かる通り、各社4,667円/時~8,571円/時と幅があり、平均すると時給6,469円という結果になりました。
学生時代のアルバイトと比較すると、約6~7倍ですね。
もちろん、これは簡易的な集計結果ですので、きちんと探せばもっと高い監査法人はいくらでもあります。
【給与明細】私の場合は、このくらい貰っています。

ちなみに、私が非常勤をして得たお給料(2月分)は、このくらいです。
(画像が小さくてすみません。拡大していただくと、見えるかと思います。)
こちらは、時給7,000円で5日間働いた月の給与明細です。
なお、私の契約している法人では「ランチ代」も出ます。
正社員時代は、2,000時間働いて年収700万円でした。(監査法人歴5年:シニア)
時給に換算すると3,500円になるので、当時の2倍稼げている計算ですね。
また、繁忙期の4月給与はコチラ。

13日勤務して、額面は74万円でした。(残業は1日2~3時間)
美味しすぎますね。
期末監査以外は残業ゼロでしたので、体への負担もほぼありません。
メリット② 拘束時間が短い
私の法人もそうですが、非常勤職員は基本的に拘束時間が短い傾向にあります。
また、監査法人と非常勤契約を締結する場合、拘束時間を短くすることも可能です。
ここでは、私が実際に各監査法人と面談した際の体験をもとに、お話しします。
監査法人での面接の際、必ず勤務日数の話になります。(何日間働くのか、という話ですね。)
この時、残業についても話しておくことで、契約をわりと自由に決められます。
残業をしたくなければ、あらかじめ契約の際に「残業はできません」と伝えておけば良いのです。
また、監査法人によっては初めから6時間勤務で募集するなど、勤務時間数の短い法人もありました。
しかもランチ代(1,200円)まで支給されます。
宣伝したいところですが、非公開求人なのでスミマセン…。(探し方は、後述しています。)
>>求人の探し方にジャンプ
拘束時間を短くできることは、女性会計士にとっても非常に有益です。
実際、ママさん会計士の割合がとても多く、皆さん非常に働きやすそうです。
監査法人出身の方ならご存知のとおり、監査法人って繁忙期は拘束時間が多くなり、肉体的にも精神的にもキツいですよね。
働きすぎて「身体を壊すリスク」から解放される点も、非常勤のメリットと言えるでしょう。
メリット③ 人間関係のストレスが少ない
正規雇用で働いていると、「人間関係」のストレスを強く感じますよね。
特に監査法人では「コミュニケーション」が必須となりますから、人間関係で悩まれた方も多いのではないでしょうか。
しかし非常勤職員の場合、人間関係のストレスがほとんどありません。
実際に働いてみて実感していますが、所内の人間関係が非常にフラットで、気を使うことがあまりないのです。
理由はシンプルで、「非常勤」は「外部の人」だからです。監査法人内部の人間ではないので、「上下関係」のようなものはありません。(もちろんお互い敬語は使いますが。)
非常勤職員は「業務を委託される側」なので、立場が弱いのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、監査チーム内では「外部の人」という意識が強く、対立関係が生まれるようなことはまずありません。
ストレスなく働きたい方に、非常勤はオススメです。
メリット④ 主査(インチャージ)を任されない
主査(インチャージ)は常勤の会計士が担当します。
よって非常勤の会計士は、1人の作業者(スタッフ)として監査に従事することになります。
これが、とっても気楽です。
主査を任されないので、たとえば次のような業務は任されません。
やらなくて良い仕事(例)
- パートナーの日程調整
- チームメンバーのアサイン調整
- 監査計画の立案
- 監査調書のレビュー
- 審査
- 飲み会
- 必要以上のコミュニケーション
中間管理職的な業務が一切不要ですので、振られた作業だけをしていれば良いことになります。
就業時間が終わっても、「あの部分大丈夫かな?」と心配するようなこともなくなります。
もちろん、後輩の育成なども不要です。
責任の軽い仕事をしたい方にも、非常勤はオススメです。
(補足)
念のため付け足しですが、「楽をして良い」という事ではありません。
むしろ 非常勤は時間給でペイされますから、個人的には「いかに短時間で高いパフォーマンスを上げられるか」が大切だと思っています。
メリット⑤ 人脈が広がる
いわゆる、横の繋がりです。
非常勤で働く場合、契約先は「中小監査法人」がメインになります。(時給が圧倒的に高いため)
この中小監査法人には、私と同じように非常勤勤務の会計士がたくさんいます。そして、この非常勤会計士との繋がりが、非常に強いと感じます。
多くの方は独立開業する傍らで非常勤として働いていますが、一方でクライアントを獲得することはとても大変です。
そして、クライアント獲得のためには人脈が必須ですが、その人脈を作る機会も、とても限られます。
そんな時に頼りになるのが、非常勤同士の繋がりです。
一緒に非常勤で働くと、相手の性格や仕事への向き合い方がよく分かります。
そして、例えば気になる会計士がいたら、仕事が終わった後に声でもかければ一緒に別の仕事をすることもできます。
たとえば私の場合は、(ちょっとレアケースですが)監査法人のWebページ作成業務をお願いされたことがあります。
本当に色々な仕事をしている人が多いので、思いもよらない仕事に繫がるかもしれませんよ。
また、引き受けた仕事をこなすことでクライアントとも接点ができますから、自分を売り込むことも可能です。
このような「営業」も、正規職員にはないメリットです。
>>ジャスネットキャリアなら、非常勤求人が入手できます。
監査法人の非常勤のデメリット

一方で、非常勤には1つだけデメリットがあります。
それは、(通常)契約が1年ごとの更新であるという点です。
何か大きな失敗をすると、契約が1年で切られることも考えられますし、そうなっても当然文句は言えません。
そのため、自身の中期的計画の中に非常勤業務を組み込むことには、一定のリスクがあります。
とは言え、2020年8月現在において、どの監査法人においても会計士はもっと欲しいという状況(売り手市場)です。
余程の失敗をしない限り、契約を切られることはないはずです。
私の周りの非常勤会計士で、クビになったという人は一人もいませんし、聞いたこともありません。
むしろ常勤(正社員)への勧誘をうけたりと、まだまだ人手不足は続いています。
なお、監査法人によっては金融庁との約束で、同じ非常勤の会計士と継続して契約できる期間が制限される法人もあるそうです。(EYがそうでした。)
この辺りは、面談時にきちんと確認しておく必要があるでしょう。
監査法人の非常勤求人の探し方

非常勤監査法人の探し方には、以下の3種類があります。
非常勤を募集している監査法人の探し方
- JICPA Career NAVIで探す
- 知人の会計士の紹介
- エージェントを使う(オススメ)
① JICPA Career NAVIで探す
こちらは、日本公認会計士協会(JICPA)が提供するサービスです。
公認会計士または公認会計士準会員(会計士補)であれば、無料で利用することができます。
手順は、以下の通りです。
- JICPA Career NAVIにアクセス
- 左のメニューにある「登録がまだの方」というボタンをクリック
- 「個人情報保護」の確認項目にチェックを入れ、次に進む
- 各種情報を入力し、完了。
これで、日本公認会計士協会が提供する求職情報を閲覧できるようになります。
簡単・すぐに閲覧することができるので便利です。
ですが、こちらには大きなデメリットがあります。
実は、会計士協会で紹介している案件は、数が非常に少ないです。
会計士協会は求職案内が本業ではないので、当然と言えば当然なのですが。
そのため、「給料の良い求人がない」「家から近い法人がない」など、不便さが残ります。
② 知人の会計士の紹介
意外と知られていないのが、この方法です。
組織が大きいので辞める人も多く、逆にそういった人を非常勤で再雇用することができるからです。
よって、大手監査法人で非常勤をしたい場合、たとえばその法人で働いている方に紹介してもらうことで、面接を経て契約をすることが可能です。
監査法人によっては、職員紹介制度を採用している法人もありますので、その場合には、紹介してくれた方に対しても報酬が貰えたりします。
ただし、こちらにもデメリットがあります。
- 紹介というルートはイレギュラーなので、成約までに時間がかかる
- そもそも、監査法人に知人がいないとダメ
- 面接まで行ってしまうと、紹介された手前、断りづらい
すこし面倒事が増えてしまうので、あまりオススメではありません。
③ エージェントを使う(おすすめ)
一番オススメの探し方は、転職エージェントを使うという方法です。
と疑問も持たれるかもしれませんが、監査法人は「常勤」も「非常勤」も全て転職エージェント経由で募集しています。
実際に使用した感想としては、ジャスネットキャリアが1番オススメです。
会計に特化したエージェントのため、非常勤の求人がとても多いのが特徴です。
良い求人は今もどんどん減っているので、これを機に登録し、すぐに求人を紹介してもらうと良いでしょう。もちろん無料です。
まとめ:監査法人の非常勤は、楽に稼げる

まとめです。
- 非常勤の監査は、かなり楽。(ストレス無し)
- 給料が2倍になる。
- 知識を蓄えつつ、人脈も広げられる。
- エージェントを使うと、良い求人を紹介してくれる。
以上です。
働き方を自由に選択できるのが、公認会計士の特権ですね。