公認会計士・税理士の藤沼です。

近年、会計士のBIG4離れが進んでいますが、マネージャーの方でも転職される方が増えているようです。

そこで今回は、監査法人のマネージャーの方が転職される時の「評価されるポイント」「注意点」について、情報共有させて頂きます。

この記事を書いた人

藤沼 寛夫

藤沼 寛夫

35歳
公認会計士・税理士

2014年  2月 EY新日本監査法人 入社
2018年  7月 FAS系コンサル事務所 入社
2019年10月 藤沼会計事務所 開業
2020年  4月 税理士登録

情報インタビュイー

公認会計士N.Kさん

N.Kさん

31歳
公認会計士

2011年 大手監査法人 入社
2018年 マネージャー 昇格
2020年 上場経理(IFRS) 入社

 

監査法人のマネージャーが転職した際の「年収」

監査法人のマネージャーが転職した際の年収

監査法人のマネージャーが転職した時の「具体的な年収額」は、転職エージェントの求人検索で集計することができます。

今回は、大手エージェントの “マイナビ会計士” の求人データを参照し、実際の年収をリサーチしました。

 年収集計結果(求人票ベース)

  • 下限値:860万円
  • 上限値:1,550万円
  • 平均値:1,021万円

あくまで求人票ベースですが、BIG4のマネージャーが転職した時の「平均年収」は1,021万円でした。(転職後1年目)

会計士(全職種・全職階)が転職した時の1年目の平均年収は「761万円」ですから、「マネージャー経験者」は非常に高く評価されることが分かります。

職種ごとの年収傾向としては、「経理」はやや低い傾向、「コンサル系」は平均して高い傾向でした。

また、職種に関係なく「英語力」「M&A系の経験値」「IT業界での経験」があると、年収は100万~150万ほど高くなる傾向にありました。

 

監査法人のマネージャーの主な「転職理由」

監査法人のマネージャーの主な転職理由

他の会計士の転職理由を知りたい場合は、企業口コミサイトが役立ちます。

ここでは、実際に「OpenWork」という口コミサイトを用いて、「BIG4/公認会計士/マネージャー/退職理由」でソートした際の出力結果、及び情報インタビュイーのK.Uさんの転職理由を掲載します。

 監査法人マネージャーの主な転職理由

  • ワークライフバランスの改善
  • プレイヤーとしての経験値を求めて
  • パートナーへの昇格が困難だから
  • 監査以外のスキルを身に着けるため

 

① ワークライフバランスの改善

公認会計士N.Kさん

N.Kさん

  • 年齢  :30歳(転職時)
  • 保有資格:公認会計士
  • 転職先 :大手監査法人 → 上場経理

「 幅広い業務(間接業務)を経験できるようになる半面、複数の監査業務(直接業務)をこなさなければならないため、シニア時代よりも更に多忙になった。
シニアマネージャー・パートナーになると更に多忙になることが想定され、近年は「働き方改革」によるシワ寄せがマネージャー陣に来ている印象がある。
また、30代に入るタイミングで家庭の時間を増やしたいと考えるようになり、転職を決意した。 」

 

② プレイヤーとしての経験値を求めて

公認会計士Aさん

Aさん

  • 年齢  :35歳(転職時)
  • 保有資格:公認会計士
  • 転職先 :大手監査法人 → 上場経理

「 外部からプロジェクトをサポートする立場ではなく、プレイヤーとして現場に深く入り込めるような経験をしたいと思うようになった。
監査法人のマネージャーではあるものの、「伝票の入れ方」「決算締めのやり方」などは未経験で分からなかったため、そのような所から経験を積んでみたかった。
そのため、プレイヤーとしてのスキルアップを図れる上場経理に転職した。 」

 

③ パートナーに上がるのが極めて困難

公認会計士Bさん

Bさん

  • 年齢  :34歳(転職時)
  • 保有資格:公認会計士
  • 転職先 :大手監査法人 → 中小監査法人

「 マネージャー昇格も狭き門であったが、シニアマネージャー・パートナーへの昇格は更に厳しく、現実味がないと感じた。
また、パートナーへの昇格では(能力も必要だが)パートナー層に気に入られる必要があり、感情的な評価の度合いが強いと感じる。
BIG4での昇格制度に疑問を感じたため、他業種へ転職した。 」

 

④ 監査以外のスキルを身に着けるため

公認会計士Cさん

Cさん

  • 年齢  :38歳(転職時)
  • 保有資格:公認会計士
  • 転職先 :大手監査法人 → FAS

「 一通りの監査経験・マネージメント経験は得たため、「やりきった」という達成感を感じた。
会計士としての今後のキャリアを考えると、「監査経験だけでは厳しくなるのでは」と感じ、他の興味ある業種に転職した。 」

 

監査法人のマネージャーが転職時に評価される「経験」「スキル」

監査法人のマネージャーが転職時に評価される経験・スキル

監査法人のマネージャーという経歴は、特に、次のような経験・スキル面で評価されるようです。

  1.  特定業界の専門知識
  2.  管理職としての経験
  3.  間接業務への関与経験

 

① 特定業界の専門知識

マネージャーになると、特定の業種のナレッジが蓄積されます。

この点が(特に事業会社では)評価される傾向にあります。

なぜなら、事業会社の職員は自社に関する知識はあるものの、業界全体の横断的な知識は浅いからです。

逆に言えば、会計士には「幅広い会計知識」が求められるとも言えるでしょう。

 

② 管理職としての経験

一般に、管理職には次のような能力が期待されます。

  • 組織全体の利益視点
  • 部下の育成・フォロー
  • コミュニケーション能力

逆に言えば、監査法人でのマネージャー経験者を採用する企業での面接の際は、上記の能力をアピールすべきとも言えるでしょう。

 

③ 間接業務への関与経験

監査法人内でのマネージャー昇格後は、一般に次のような間接業務への関与が増えるでしょう。

  • セミナー講師・研修講師
  • 採用面接官
  • 雑誌・書籍への寄稿

転職後も管理職ポジションに就く場合でも、たとえば企業内での研修講師、リクルート活動への参画などを期待されるケースがあります。

また、「雑誌への寄稿経験」は転職後の業務に直接役立つケースは少ないものの、有名雑誌・書籍に氏名が掲載されることによる社会的信用力が高まり、1つのアピールポイントになるでしょう。

 

監査法人のマネージャーが転職する際の「注意点」

監査法人のマネージャーが転職する際の注意点

監査法人でのマネージャー経験は、とても高く評価されます。

しかし、次の2点において注意が必要です。

  1. 期待値が上がりすぎる可能性
  2. 経営陣・部下との相性

 

① 期待値が上がりすぎる可能性

監査法人のマネージャーとして高い評価を得て転職した場合、上長からの期待値が上がりすぎる可能性があります。

そのため、たとえば仕事を丸投げ・無茶ぶりされるケースがあり、事前に業務内容・範囲を確認しておく必要はあるでしょう。

特に、会計士の採用実績が少ない組織では、「会計士なら何でも任せて良い」と考える組織も散見されるようです。

ワークライフバランスを求めて転職される方は、ご注意ください。

 

② 経営陣・部下との相性

言うまでもないかもしれませんが、管理職としては「組織構成員との相性」も重要です。

監査法人では、比較的相性の良いチームを選べる傾向にありましたが、管理職として転職した際は、既にあるチームの中に溶け込む必要があります。

会計人としての経験値は高かったとしても、転職先での経験値は部下の方が上ですから、チームメンバーに頼らざるを得ないシチュエーションも多いでしょう。

そのため、面接の過程で「カジュアル面談」などを積極的に受け、組織・チームの雰囲気を事前につかむ必要があるかもしれません。

 

監査法人のマネージャーが経歴を大きく活かせる「転職先」

監査法人のマネージャーが経歴を大きく活かせる転職先

監査法人のマネージャーが経歴を大きく活かせる転職先は、4種あります。

  1. 経理
  2. 監査法人のアドバイザリー部門
  3. 日系FAS
  4. 中小監査法人(オススメ)

 

① 経理

監査法人でのマネージャー経験は、「会計知識」「管理能力」の2点で、経理部で役立てることができます。

伝票承認や予算管理は未経験の方も多いと思いますが、(初めは大変ですが)すぐに慣れるでしょう。

また、経理は残業時間が少ない傾向にあるため、ワークライフバランスを見直したい会計士の方にもオススメです。

ただし、既に事業が平準化され、定常業務が大半を占めるような安定した事業会社では、既存の会計知識(及び情報のリサーチ能力)をフルに活かせないというデメリットもあります。

つまり、非定常業務が少ないため、「不測の事態に活躍する」というシチュエーションは少ないのです。

監査法人でのマネージャー経験をフルに活かすのであれば、非定常業務の多い「メガベンチャー」や、上場(鞍替え含む)を控えたベンチャーCFOの方が良いかもしれません。

 

② 監査法人アドバイザリー部門

監査法人からBIG4系のアドバイザリーへの転職(または部門移動)であれば、違和感なくプロジェクトに関与できるでしょう。

M&A系の部門であれば、(特に財務DD等で)監査経験をそのまま活かしながら、ファイナンス領域の経験値を高めることができます。

チーム編成も監査部門とほぼ同様であることから、マネージメント手法もほぼ同様です。

ただし、BIG4のアドバイザリー部門では、特定のサービスラインのみに関与する(バリュエーションならバリュエーションのみに関与し続ける)ケースが多いことから、業務の幅広さを求める方には向きません。

 

③ 日系FAS

FASも監査法人と同様、チーム単位でプロジェクトが進行します。

ただし、日系のFASはBIG4と比較すると規模が非常に小さいため、チームも小規模になります。(2名~4名程度が一般的)

一方、業務は非常に幅広いため、特定のサービスラインに限定されず、幅広くFAS全般に携わりたい方にはオススメです。

 

④ 中小監査法人

「監査法人でパートナーを目指す」という方には、中小監査法人が非常にオススメです。

私は大手監査法人(EY)と中小監査法人の両方を経験しましたが、間違いなく、中小監査法人の方が昇格しやすいと感じました。

※ 準大手監査法人(太陽や東陽など)は昇格基準が厳しいですが、もう少し規模の小さな法人であれば、昇格水準がとても低いです。

BIG4では(ある種ムダとも思えるような)細かな作業が多いですが、中小監査法人ではグローバルの縛りがないため、本質的な業務に専念することができます。

 

⑤ その他

会計士の転職先は12種もあります。

上記以外の転職先から幅広く選ぶ場合には、次の記事が参考になるはずです。

 

監査法人のマネージャーにオススメの「転職エージェント」

最後に、会計士におすすめの転職エージェントを紹介します。

  1.  マイナビ会計士(おすすめ)
  2.  レックスアドバイザーズ
  3.  ジャスネットキャリア

監査法人のマネージャーの方が転職をするなら、マイナビ会計士の利用を推奨します。

なぜなら唯一の会計士専門エージェントであり、求人数もNo.1だからです。

監査法人のマネージャーの方は、転職市場で高く評価される反面、「期待値が上がりすぎる点」「構成員との相性」には注意が必要です。

転職は人生の大きな選択ですから、ぜひ失敗のないよう、慎重に転職先を吟味してくださいね。