公認会計士・税理士の藤沼です。
大手監査法人で採用(面接)に携わり、現在は 人材紹介会社 を運営しています。
皆さんご存じのとおり、いま監査法人の求人フェーズは「売り手市場」です。
私は 2014年~2018年 に監査法人リクルートに携わりましたが、
説明会でケーキを配ったり、面接で(受験生と)ガッチリ握手したりと、、、求職者にとっては嬉しい状況が続いています。
そして近年、「就職氷河期に監査法人へ入社できなかったが、そろそろ監査法人に転職したい」という方が増えてきました。
そこで本記事では、「未経験だけど監査法人に転職したい」という方に向け、内定率を上げるための工夫をご紹介します。
想定読者
- 監査未経験の会計士の方
- 監査未経験のUSCPAの方
※ 本記事は、監査事業部(アシュアランス)志望の方向けの内容です。
「監査法人のアドバイザリー事業部」志望の方は、「監査法人のアドバイザリーに転職した、会計士のキャリアを解説」をご覧ください。
目次
何歳までなら、未経験で監査法人に転職できる?

公認会計士としてのキャリアプランを考えると、「監査法人勤務」というキャリアはとても魅力的です。
なぜなら、あらゆる企業の会計実務を知ることができ、専門家としての「幅」が大きく広がるからです。
では何歳までなら、未経験で転職できるのか?
さっそく見てみましょう。
30代:未経験でも監査法人に転職可能。
結論ですが、30代までなら未経験者でも監査法人に転職できます。
私は 大手監査法人のリクルーターとして、多くの就活生を見てきました。
30代(かつ前職がある方)で就職に困ったという人は、あまり見た事がありません。
※ 35歳を過ぎると、前職経験「3年以上」が必要になります。
ただし注意。これは大手監査法人のケースです。
中小監査法人では「即戦力」を求めることもあるため、法人によって募集状況に差があるのが現状です。
40代:前職での経験が問われる。
「40代だと転職は無理なのか?」
というと、そういう訳でもありません。
私が転職をお手伝いさせて頂いた方で、40歳で大手監査法人から内定を取られた方がいます。
一方で、会計とは全く関連のない仕事をされていた方々は、ことごとく落とされてしまいました。
そのため、40代の方は前職での経験が非常に重視されると言えるでしょう。
監査法人で高く評価される経験は、例えば次の3点です。
監査未経験でも評価される経験
- 経理(上場企業の課長職以上)
- 会計事務所(常勤かつ7年以上)
- 英語力(オンラインミーティングが難なくこなせるレベル)
これは目安ですが、このようなスキル(経験)があれば、40代の方でも未経験で転職ができます。
未経験で監査法人に転職したケース(事例)

論より証拠 ということで、未経験で転職された事例を見てみましょう。
- 事例① 30代:経理 → 監査法人
- 事例② 30代:会計事務所 → 監査法人
- 事例③ 40代:会計事務所 → 監査法人
いずれも、2020年に転職された事例です。
事例① 30代:経理 → 監査法人
30歳で経理(証券会社)に就職し、33歳で監査法人に転職された方です。
年収が下がっていますが、(残念ながら)これは仕方ないのが実情です。(後述:転職後の年収)
30代前半の方であれば、内定はさほど難しくありません。※ ただし、面接の練習は必要。
事例② 30代:会計事務所 → 監査法人
会計税務を3年ほど経験し、30代後半で転職をされた方のケースです。
この方は逆に年収が上がっていますが、監査法人の性質上、当然の結果でしょう。(後述:転職後の年収)
内定はすぐに獲得できたそうですが、「就職氷河期に拾ってくれた事務所」に恩を感じ、むしろ退職に気を遣われたそうです。
事例③ 40代:会計事務所 → 監査法人
40代かつ未経験で監査法人に転職された方の実例です。
書類選考で落とされる日が続いたそうですが、たまたま新規募集をかけた法人の求人を見つけ、転職エージェントが交渉した末に内定を獲得できたそうです。
そのためにも、早い段階で転職エージェントに登録しておくと良いでしょう。
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未経験で監査法人に転職した後のキャリアを考える

私たち公認会計士にとって、経験こそが財産です。
「多少年収が下がっても、会計監査を経験したい」
そう考える方も多いでしょう。
では、転職した後はどんな待遇で、どのようなキャリアが積めるのでしょうか?
転職後の待遇
監査法人から内定を得ると、「スタッフ(ジュニアスタッフ)」という役職を与えられます。
いわゆるJ1です。
J1としての採用ですので、ご存じのとおり「現預金」「借入金」「貸付金」等の易しい科目をまず担当します。
しかし、ここから飛び級でシニアに昇格するケースがあります。
すでに会計や税務に関する経験がある方は、年度の評価が高い傾向にありますので、早い方で2年目からシニアに昇格できた事例があります。
転職後のキャリア
大手監査法人の場合は、(基本的に)4年ごとに役職が用意されます。
- 1-4年目:スタッフ
- 5-8年目:シニア
- 9-12年目:マネージャー
- 13-16年目:シニアマネージャー
- 17年目~:パートナー
といった具合です。
ただし、これは最短で昇格した場合の流れです。
飛び級でシニアに昇格する可能性はあるものの、大手監査法人ではマネージャー以降の昇格が難しいのです。
そのため マネージャーを目指すなら最低5年かかる、ということを知っておいて下さい。
そのほか、監査法人での具体的なキャリアについては、「監査法人キャリア【更新中】」の記事で解説しています。
転職後の年収
年収は「上がるケース」と「下がるケース」があります。
なぜなら、監査法人での初任給はある程度固定されているからです。
監査法人(未経験)1年目の年収
- 500~600万/年
これは、スタッフとして採用された場合の給与テーブルです。
未経験者は(ほとんどの場合)スタッフとして採用されるため、この給与水準となります。
また、その後の年収推移は次のとおりです。
役職ごとの年収推移(参考)
- シニア:700万~
- マネージャー:850万~
- シニアマネージャー:1,000万~
- パートナー:1,100万~
※ 退職金は含みません。
飛び級の可能性がありますので、早い段階で、年収700万に達することは可能です。
未経験でも転職できる監査法人の求人

監査法人の求人は、ほとんどが非公開です。
そのため件数は少ないですが、公開されていた求人をご紹介します。
未経験で応募できる監査法人(2020年現在)
残念ながら、公開求人ではこちらの1社のみでした。
2020年は、「売り手市場が緩和されてきている」という話も聞きますので、応募できる法人はどんどん減っているようです。
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未経験で監査法人に転職するコツは【ニーズの理解】

BIG4で採用に携わった身として、
「あぁ、この人は不採用だな…」
そう感じた人に共通する特徴、それは「ニーズを理解できていない人」です。
たとえば、次のような問答はNGです。
- 強みは? → 数字に強いことです。
- 志望動機は? → 監査法人でキャリアを広げたいからです。
会計士なら 数字に強いのは当たり前であり、採用課はプラスアルファを求めています。
「監査法人でキャリアを積む」というのも当然のことであり、法人にとってのメリットを提示できていません。
- 「自分が入社したら、監査法人にどんなメリットがあるのか?」
- 「監査法人が自分を採用することで、ニーズが満たせるのか?」
という質問に 直球で答えることができれば、内定率を飛躍的に上げることができます。
コツ①:「応募編」
競争率の高い法人に応募する必要は、まったくありません。
「公開されている求人」は、かんたんに応募することができますが、裏を返せば「多くの人が応募している求人」です。
コツ②:「面接編」
「未経験者でも受け入れる」
そう考える監査法人の意図には、「人員が枯渇している」という背景が透けて見えます。
たとえば中小監査法人の場合、「特定のチームで人員が不足したから、補充したい」といったニーズが多いです。
それが国際系のチームであれば、英語に強い人材を求めるはずです。
英語に強い会計士を求めている監査法人に対して、「税務の経験」をアピールしても、まったく響きません。
しかし 一般に公開されている求人票には、「求めている人材」があまり細かく記載されていません。(クライアントの目があるため、詳細を書けないのです。)
そこで、転職エージェントの利用価値が出てきます。
裏事情に精通したエージェントを使い、監査法人の「ニーズ」を聞き出しましょう。
監査未経験の会計士にオススメの転職エージェント

ご存じのとおり、良い求人ほど「非公開」で募集をかけます。
そのため 魅力的な監査法人ほど、エージェント経由でのみ応募できる傾向にあります。(感覚値として、7~8割が非公開です。)
監査法人に転職する場合、転職エージェントは「マイナビ会計士」一択です。
>>関連記事:公認会計士がオススメする転職エージェント
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もしこちらで監査法人が見つからなかったら、私が直接ご紹介します。
それでは、ご武運を!